1-7-8 脳卒中回復期患者の栄養療法─活動係数に関する予備的調査

【目的】 脳卒中患者の栄養療法は合併症や長期予後に関与するという報告があり, その重要性が注目されているが, 回復期での栄養療法の基準に関する報告は少ない. 回復期脳卒中患者のエネルギー必要量に関しては議論の分かれるところであり, 特に活動係数に関しての報告はほとんど見当たらない. そこで, 今回, 活動係数を定めるための予備的調査として当院に回復期リハビリテーション(以下リハ)目的で入院した初回脳卒中患者の, 実際の栄養量と安静時エネルギー消費量(以下REE)より, 活動係数を推定した. 【対象ならびに方法】 対象は当院に入院した初回脳卒中患者46例(平均年齢68.7歳, 46-87歳)であ...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 14; no. 3; p. 380
Main Authors 堀江温子, 川上途行, 大塚友吉, 和田彩子, 仲山千明, 富井三惠, 里宇明元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2010
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】 脳卒中患者の栄養療法は合併症や長期予後に関与するという報告があり, その重要性が注目されているが, 回復期での栄養療法の基準に関する報告は少ない. 回復期脳卒中患者のエネルギー必要量に関しては議論の分かれるところであり, 特に活動係数に関しての報告はほとんど見当たらない. そこで, 今回, 活動係数を定めるための予備的調査として当院に回復期リハビリテーション(以下リハ)目的で入院した初回脳卒中患者の, 実際の栄養量と安静時エネルギー消費量(以下REE)より, 活動係数を推定した. 【対象ならびに方法】 対象は当院に入院した初回脳卒中患者46例(平均年齢68.7歳, 46-87歳)である. 身長, 病型, REE, 入院時・一カ月後・二カ月後の体重, 血清アルブミン値, 病棟日常生活の主な活動(ベッド上・座位保持・車椅子自走・歩行)を診療録より後方視的に調査した. 当院では, REEは携帯用簡易熱量計を用い, 測定している. 提供エネルギー量をREEで割ったものを仮の活動係数とした. 【結果】 入院時の提供エネルギー量の活動係数は平均1.35(0.78~1.77)だった. 活動係数1.2未満が12名, 1.2以上1.4未満が18名, 1.4以上1.6未満が8名, 1.6以上が8名だった. 活動係数1.2未満の12名のうち4名, 1.2以上1.4未満の18名のうち6名, 1.4以上1.6未満の8名のうち2名で, 1カ月毎の体重, 血清アルブミン値等による栄養評価の結果2カ月以内に提供エネルギー量が増量となっていた. 病棟での主な活動では, 活動係数に有意な差は認めなかった. 【まとめ】 活動係数は, ベッド上安静, ベッド以外での活動では1.2~1.3であるが, 回復期リハを行う場合, 日常の活動状況に関わらず, 活動係数1.4未満の提供エネルギー量で栄養を開始すると, 33%で2カ月以内に提供エネルギー量が増量されていた. リハを行う上で活動係数はやや高めに設定する必要があるかもしれず, 今後症例を増やして検討する予定である.
ISSN:1343-8441