I-6-14 脳卒中回復期患者の安静時エネルギー消費量の測定

【目的】脳卒中患者の栄養療法は合併症や長期予後に関与するという報告があり, その重要性が注目されているが, 回復期での栄養療法の基準に関する報告は少ない. 回復期脳卒中患者のエネルギー必要量に関しては議論の分かれるところである. 今回我々は当院に回復期リハビリテーション目的で入院した初回脳卒中患者の, 安静時エネルギー消費量(以下REE)を測定した. また, ハリス・ベネディクトの式(以下HBの式)より算出した基礎エネルギー量(以下BEE)と比較した. 【対象ならびに方法】対象は当院に入院した初回脳卒中患者22例(平均年齢68.2歳, 46~85歳)である. 身長, 体重, 病型, 発症からR...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 13; no. 3; p. 320
Main Authors 川上途行, 大塚友吉, 里宇明元
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2009
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】脳卒中患者の栄養療法は合併症や長期予後に関与するという報告があり, その重要性が注目されているが, 回復期での栄養療法の基準に関する報告は少ない. 回復期脳卒中患者のエネルギー必要量に関しては議論の分かれるところである. 今回我々は当院に回復期リハビリテーション目的で入院した初回脳卒中患者の, 安静時エネルギー消費量(以下REE)を測定した. また, ハリス・ベネディクトの式(以下HBの式)より算出した基礎エネルギー量(以下BEE)と比較した. 【対象ならびに方法】対象は当院に入院した初回脳卒中患者22例(平均年齢68.2歳, 46~85歳)である. 身長, 体重, 病型, 発症からREE測定日までの期間, 嚥下障害の有無をカルテより後方視的に調査した. REEは携帯用簡易熱量計を用い, 30分の安静後3分間の測定を計3回行い, 平均値を算出した. 【結果】発症から測定までの期間の平均は55.6日, BMIの平均は23.1(15.1~31.2)であった. REEの平均1,218.1kcal/dayであり, REEをBEEで割った値の平均は101.9%だった. 【考察】回復期脳卒中患者のREEは計算上のBEEとほぼ一致した. 脳卒中急性期患者においてREEはBEEの126%に亢進するという報告があるが, 回復期患者ではREEはほぼ通常に戻ると考えられた. これは回復期の脳卒中患者の栄養量を決定する上で参考となる結果と考えられた.
ISSN:1343-8441