II-5-33 VFで食道通過障害を考える

【目的】ルーチンで行うvideofluolography(VF)にて発見しえた食道通過障害の中で臨床上明らかに無視できない症例について検討した. 【方法】対象は2006年1月から2008年4月までに行ったVF症例の中5例である. VF側面像で口腔咽頭期を観察した後, 検査食solid&liquidを一口量摂取させ正面像X線透視を座位で施行し, 食塊先頭が梨状陥凹下端を通過し始めてから胃内に納まるまでの時間を測定し食道通過時間とし2分を超える場合検査を終了し数分後または約一時間後に胸部X線を再検した. 他に通過障害部位, 屈曲蛇行, 空嚥下による蠕動誘発の有無, 代償の有無などを観察した...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 12; no. 3; p. 412
Main Authors 久保久美子, 菱川礼子, 田上恵美子, 松村剛, 藤村晴俊, 神野進
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2008
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ISSN1343-8441

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Summary:【目的】ルーチンで行うvideofluolography(VF)にて発見しえた食道通過障害の中で臨床上明らかに無視できない症例について検討した. 【方法】対象は2006年1月から2008年4月までに行ったVF症例の中5例である. VF側面像で口腔咽頭期を観察した後, 検査食solid&liquidを一口量摂取させ正面像X線透視を座位で施行し, 食塊先頭が梨状陥凹下端を通過し始めてから胃内に納まるまでの時間を測定し食道通過時間とし2分を超える場合検査を終了し数分後または約一時間後に胸部X線を再検した. 他に通過障害部位, 屈曲蛇行, 空嚥下による蠕動誘発の有無, 代償の有無などを観察した. 【結果および考察】VF及び追加検査による診断は食道裂肛ヘルニアによる胃食道逆流3例, 食道癌1例, 膠原病に合併する食道蠕動障害1例であった. 5例中4例は呼吸器内科からの検査依頼で検査理由は繰り返す誤嚥性肺炎の精査であり1例はパーキンソン病患者で検査理由は繰り返す喉頭痙攣の精査であった. 全例に明らかな食道通過時間の延長を認めたが胸部つかえ感などの自覚症状はなく咽頭期嚥下障害は認めないか軽度であった. 神経筋疾患においては2分以上の食道通過時間の延長を筋強直性ジストロフィー;59%, パーキンソン病;37%, 黒質線条体変性症;57%, シャイドレージャー症候群;50%, 筋委縮性側索硬化症;22%に認め正常コントロールでは0%であった. 【結論】食道期嚥下障害はリハビリの対象にならないことが多いが胃食道逆流の予防の観点から食道相を観察することは有用である. しかし感度の高い検査方法とは言えず平素から誤嚥の原因として食道通過障害を意識する必要がある.
ISSN:1343-8441