I-P1-24 緊急手術後嚥下障害に陥った高齢患者に対する看護師の関りの一例

「目的」気管内挿管による喉頭麻痺・嚥下障害が報告されている. 今回, 高齢者が緊急手術を受け, せん妄・喉頭麻痺を併発した. そこで私達は定期的なリハビリテーション・看護介入にて, 日内リズムの調整を図り, せん妄・嚥下障害の回復へ関与した. 又, 他職種との連携やケア内容を統一した事で, 患者・家族の戸惑いを軽減し, 患者の自立が促せた症例を経験したので報告する. 「対象」80歳代男性. 小腸・上行結腸壊死にて小腸部分切除・右半結腸切除術・二孔式人工肛門造術設術受ける. 既往歴:なし. 「経過」手術後せん妄があり, 口腔内は汚染著明で, 誤嚥性肺炎を併発した. 日内リズムの補正目的に口内保清...

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Published in日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 11; no. 3; p. 263
Main Authors 祿恵, 蓑田さゆり, 水谷典子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会 2007
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ISSN1343-8441

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Summary:「目的」気管内挿管による喉頭麻痺・嚥下障害が報告されている. 今回, 高齢者が緊急手術を受け, せん妄・喉頭麻痺を併発した. そこで私達は定期的なリハビリテーション・看護介入にて, 日内リズムの調整を図り, せん妄・嚥下障害の回復へ関与した. 又, 他職種との連携やケア内容を統一した事で, 患者・家族の戸惑いを軽減し, 患者の自立が促せた症例を経験したので報告する. 「対象」80歳代男性. 小腸・上行結腸壊死にて小腸部分切除・右半結腸切除術・二孔式人工肛門造術設術受ける. 既往歴:なし. 「経過」手術後せん妄があり, 口腔内は汚染著明で, 誤嚥性肺炎を併発した. 日内リズムの補正目的に口内保清を行い, 手術後7日目よりせん妄・肺炎の症状が徐々に改善した. 同日スクリーニングテスト後食事開始したが, むせ込み多く嚥下外来を受診した. そこで喉頭麻痺を指摘されるが, 直接訓練下厳守で食事可能となり, 更に理学・作業療法も開始された. 食事前後のケア内容は口内保清, 姿勢の保持, アイスマッサージ, 嚥下体操, プッシング法, 頚部前屈, 嚥下方法, 投薬方法を定期的に行った. それらの詳細を, 医療者・家族が胸痛認識を持つ為, プラカードに記載し掲示した. 又, 面会の稀な家族に対し, ケアを共に行える様関り, その参加頻度は徐々に増した. 術後2週目, 喉頭麻痺の軽快と家族の協力により, 患者自身に意欲が沸き, 自己摂食可能となった. 「考察」せん妄改善が食を認知し, 動的障害改善と嚥下障害改善に繋がった. 又, 口内保清が肺炎を軽快へ導き, 日内リズムの調整が, せん妄の回復を促した. 更に, ケアの統一を図った事が, 家族の協力・患者の自立に効を成した. 訓練のみならず口内保清の徹底と, 統一したケアは重要なリハビリテーションの要素である. 今後, 気管内挿管と喉頭麻痺の関連性を検討し, 喉頭麻痺を発症した症例への, 具体的な観察基準の作成と, 摂食・嚥下ケアの統一を図りたいと考える.
ISSN:1343-8441