II-5-5 Duchenne型筋ジストロフィー患者における嚥下機能の変化-嚥下造影による検討
【目的】Duchenne型筋ジストロフィー(以下DMD)では巨舌, 舌運動の低下や咽頭筋群の筋力低下に伴って, 種々の摂食, 嚥下障害を来すと考えられるが, その詳細な報告はない. 我々は症状進行に伴う嚥下障害の特徴を, 嚥下造影(以下VF)を用いて検討した. 【対象】NHO徳島および刀根山病院のDMD患者79名. 検査時の年齢は13~36歳であった. 【方法】DMD患者に対してVFを行った. 所見数はゼリー食102, 水分104で, これを年齢ごとに9群に分け, 定性的に比較検討した. 【結果】口腔期の問題である咽頭への送り込みの障害が, ゼリー食では13~14歳の群において既に半数以上に認...
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| Published in | 日本摂食・嚥下リハビリテーション学会雑誌 Vol. 9; no. 3; pp. 381 - 382 |
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| Main Authors | , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会
2005
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1343-8441 |
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| Summary: | 【目的】Duchenne型筋ジストロフィー(以下DMD)では巨舌, 舌運動の低下や咽頭筋群の筋力低下に伴って, 種々の摂食, 嚥下障害を来すと考えられるが, その詳細な報告はない. 我々は症状進行に伴う嚥下障害の特徴を, 嚥下造影(以下VF)を用いて検討した. 【対象】NHO徳島および刀根山病院のDMD患者79名. 検査時の年齢は13~36歳であった. 【方法】DMD患者に対してVFを行った. 所見数はゼリー食102, 水分104で, これを年齢ごとに9群に分け, 定性的に比較検討した. 【結果】口腔期の問題である咽頭への送り込みの障害が, ゼリー食では13~14歳の群において既に半数以上に認められ, 次第に増加し, 23歳以上では70%以上が障害されていた. 水分でも31歳以上の群では66%に異常が認められた. 咽頭通過の障害はゼリー食, 水分ともに20歳頃より増加し, ゼリー食27歳以上では60%で障害されていた. 喉頭蓋谷, 梨状陥凹への残留は水分摂取でより著明であった. 梨状陥凹への残留は10歳代でもほぼ60%で, 25歳以上では90%に認められた. ゼリー食では31歳以上の群で70%に認められた. 喉頭侵入, 誤嚥はあまり見られなかった. 【考察】DMD患者で認められた口腔期の異常は巨舌を伴った舌の運動障害に起因すると考えられた. 20歳頃から, 咽頭期の障害である喉頭蓋谷, 梨状陥凹への残留が見られるようになった. 本症の摂食, 嚥下障害の特徴として10代前半で既に口腔期障害を生じていること, また20歳頃からは咽頭期の問題を生じてくることがあげられた. 以上から, DMD患者では10歳代より食形態の調製や舌の機能維持を目的とした訓練が, また20歳頃からは咽頭残留物の除去を目的とした積極的な介入が必要と考えられた. 【結語】本症の摂食, 嚥下障害の特徴として, 10歳代前半より咽頭への送り込みの障害がみられ, さらに20歳頃より喉頭蓋谷, 梨状陥凹への残留が増加することが考えられた. |
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| ISSN: | 1343-8441 |