下肢部分荷重指導の学習効果についての検討-第2報
第38回本学術大会で, 我々は短時間における部分荷重指導の学習効果について報告した. その課題として, 長時間での学習効果について検討し, 指導の有効性についてここに報告する. 実験の主旨を説明し, 書面にて同意の得られた下肢に既往のない健常成人31名(男性20名, 女性11名), 年齢24.3±3.5歳, 身長167.0±8.7cm, 体重61.8±13.7kg, BMI値21.9±3.2(平均±標準偏差)であった. 部分荷重指導として, 歩行形態は左片松葉杖, 右下肢2/3部分荷重(以下2/3PWB)による2動作歩行前型とした. そして, 部分荷重訓練装置(アニマ社製MP-100)を用い,...
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| Published in | 理学療法学 Vol. 31; no. suppl-2.2; p. 493 |
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| Main Authors | , , , , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本理学療法士協会
2004
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| ISSN | 0289-3770 |
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| Summary: | 第38回本学術大会で, 我々は短時間における部分荷重指導の学習効果について報告した. その課題として, 長時間での学習効果について検討し, 指導の有効性についてここに報告する. 実験の主旨を説明し, 書面にて同意の得られた下肢に既往のない健常成人31名(男性20名, 女性11名), 年齢24.3±3.5歳, 身長167.0±8.7cm, 体重61.8±13.7kg, BMI値21.9±3.2(平均±標準偏差)であった. 部分荷重指導として, 歩行形態は左片松葉杖, 右下肢2/3部分荷重(以下2/3PWB)による2動作歩行前型とした. そして, 部分荷重訓練装置(アニマ社製MP-100)を用い, 目標値を体重の2/3に設定し, それ以上で警告音を発し, 聴覚性フィードバックを与え20分間の指導を行った. 10m直線歩行路を往復し, 警告音が1往復安定した時点で歩行獲得とした. 各被験者が時間内に2/3PWBを獲得したことを確認後, 習得時間を記録し, 測定を開始した. 前回の反省を基に, 指導中および測定中は一定のリズムで歩行を行わせた. また測定は, 左右独立式床反力計(アニマ社製MG-1120)を設置し, 2/3PWB歩行を行うよう命題を与え, 裸足で直後15分後(以下15M)1時間後(以下1H)12時間後(以下12H)の計4回行った. 指導後から12Hの測定まで, 条件として常に2/3PWB歩行を行うことのみ指示した. 12Hの測定の後, 実験に対する自己評価のアンケートを行った. そして, 床反力計から得られたデータより, X, y, z成分を求め, その合力を荷重量とし, 各回の踵接地期(以下HC), 立脚中期(以下MS), つま先離地期(以下TO), 最大荷重量(以下Max)を求め, それぞれ目標値との差を算出した. 統計において, HC, MS, TO, Maxの経時的変化には, 反復測定分散分析後, 一元配置分散分析によるFisherのPLSDを行い, またアンケート結果には, 習得時間, 満足度を2群に分け, 二元配置分散分析によるFisherのPLSDで比較した. 有意水準は5%とした. 目標値との差において, HC, MS, TOでは有意差はなく, Maxでは直後と12H, 15Mと12Hで有意に増加し, 時間の経過に伴い増加する傾向がみられた. つまり, 12Hでは2/3PWBの学習効果が薄れてしまうと考えられる. そのため, 指導の際は歩行開始時にその都度部分荷重を確認することが重要である. また, 自己評価との関係では, 直後の満足度が高いほど, 12Hの値が目標値に近い傾向がみられ, さらに12時間常に部分荷重を守れたという自己評価が高いほど, 12HのMaxが目標値に近い傾向がみられた. また, 習得時間では, 12Hの目標値との差と相関が認められなかったため, 指導は患者の十分納得いくまで行うのが良いのではないだろうか. |
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| ISSN: | 0289-3770 |