血糖変動の大きい1型糖尿病症例への理学療法の経験

近年, アメリカ糖尿病学会, WHO, 日本糖尿病学会は, 従来のIDDM, NIDDMといった病態のみの分類から成因に基づいて1型, 2型という分類を発表した. 1型糖尿病とは膵β細胞の破壊性病変でインスリンの欠乏が生じることによって起こる糖尿病と定義される. 通常, 1型糖尿病患者に対し, 治療としての運動療法の適応はないが, 今回, 運動能力改善を目的とした1型糖尿病症例に対する理学療法を5ヶ月間経験した. 本症例は摂食行動異常を合併しており血糖の変動が大きく, 常に運動時, あるいは運動後に低血糖のリスクがあった. そこで一定強度の運動を行えた退院前1ヶ月間の理学療法実施時のリスク管理...

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Published in理学療法学 Vol. 28; no. suppl-2; p. 68
Main Authors 野村卓生, 山本昌樹, 榎勇人, 山本博司, 川上照彦, 石田健司, 池田幸雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 2001
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ISSN0289-3770

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Summary:近年, アメリカ糖尿病学会, WHO, 日本糖尿病学会は, 従来のIDDM, NIDDMといった病態のみの分類から成因に基づいて1型, 2型という分類を発表した. 1型糖尿病とは膵β細胞の破壊性病変でインスリンの欠乏が生じることによって起こる糖尿病と定義される. 通常, 1型糖尿病患者に対し, 治療としての運動療法の適応はないが, 今回, 運動能力改善を目的とした1型糖尿病症例に対する理学療法を5ヶ月間経験した. 本症例は摂食行動異常を合併しており血糖の変動が大きく, 常に運動時, あるいは運動後に低血糖のリスクがあった. そこで一定強度の運動を行えた退院前1ヶ月間の理学療法実施時のリスク管理について検討したので報告する. 〔症例提示〕症例:36歳, 女性, 身長157cm, 体重28kg診断名:1型糖尿病合併症:摂食障害, 糖尿病性神経障害(主に末梢性ニューロパチー, 深部感覚障害による立位・歩行のバランス障害)現病歴:5年前に近医にて1型糖尿病を指摘される(血糖500mg/dl).
ISSN:0289-3770