A-2.当院救急救命センターにおける小児顎顔面口腔外科救急外来患者の臨床的検討

当院救命救急センターは1983年に設置, 岡山県南部の救命救急医療の中核的存在となっている. 今回, 当院救命救急センターでの小児救急医療に置ける口腔外科の役割を把握する目的で, 小児顎顔面口腔外科患者の臨床的検討を行ったので報告した. 対象症例は1998年12月より2002年12月までの4年1か月間に, 岡山赤十字病院救命救急センターを受診した15歳未満の小児顎顔面口腔外科疾患を有する患者1169名とした. 救命救急センター受診の全顎顔面口腔外科疾患患者のうち, 10歳未満の患者数が最も多く認め約40%を占めた. 小児患者では1歳が最も多く25.3%, 2歳, 3歳, 0歳の順で, 年齢が増...

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Published in小児口腔外科 Vol. 14; no. 1; p. 46
Main Authors 岩田雅裕, 永山久夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本小児口腔外科学会 2004
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ISSN0917-5261

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Summary:当院救命救急センターは1983年に設置, 岡山県南部の救命救急医療の中核的存在となっている. 今回, 当院救命救急センターでの小児救急医療に置ける口腔外科の役割を把握する目的で, 小児顎顔面口腔外科患者の臨床的検討を行ったので報告した. 対象症例は1998年12月より2002年12月までの4年1か月間に, 岡山赤十字病院救命救急センターを受診した15歳未満の小児顎顔面口腔外科疾患を有する患者1169名とした. 救命救急センター受診の全顎顔面口腔外科疾患患者のうち, 10歳未満の患者数が最も多く認め約40%を占めた. 小児患者では1歳が最も多く25.3%, 2歳, 3歳, 0歳の順で, 年齢が増すにつれ減少傾向にあった. 1999年から2002年の4年間の救命救急センターでの小児顎顔面口腔外科患者の受診日は, 月別では一定の傾向は認めず, 曜日別では土曜, 日曜, 祝日が約半数を占めた. 受診時間は20時が最も多く, 18時, 19時, 17時の順で, 18時から20時をピークに分布していた. 2時から7時には受診者がほとんどみられなかった. 疾患別では, 外傷が最も多く, 86.7%を占めた. 外傷のうち, 顎顔面皮膚損傷が最も多く, 口唇損傷, 口腔粘膜損傷, 歯の損傷, 顎顔面骨骨折の順であった. 外傷の原因は転倒, 転落が最も多く45.0%, 物との接触, 交通事故, スポーツ, 遊戯の順であった. 外傷以外では, 炎症が最も多く過半数を占めた. 4年1か月間の救命救急センターで初療より口腔外科が参加した小児患者は72例, 6.2%であった. 内訳は, 口唇損傷が最も多く, 舌裂傷, 口腔粘膜裂傷, 上唇小帯裂傷, 顎顔面骨骨折の順であった. 口腔粘膜損傷のうち過半数は歯ブラシ等による口蓋刺傷であった. それらの小児の特徴は, 縫合処置の必要な口唇, 口腔粘膜裂傷, 顎顔面骨骨折, 歯の損傷など重傷例であった. 小児救急医療において口腔外科の役割が大きいことが示唆された.
ISSN:0917-5261