1―005 長期にわたり誤診されていた頸椎由来性疼痛

変形性頸椎症などの頸椎由来の疼痛は, 後頭部から肩, 上肢, 背部にわたる広範な部位に痛みが生じるため, 他の疾患と誤診される症例がある. 今回我々は長期にわたり, 特発性三叉神経痛, 開胸術後痛と誤診され, 治療され続けていた2症例を経験したので報告する. 【症例1】38才女性. 11年前肺分画症にて下葉切除. 術後より開胸部位の肋間神経根部にほぼ一致した背部痛が認められ, 術後痛として治療されていた. 手術10年後に当科受診. 痛みは変動が激しく, 激痛で動けない日もあれば痛みのない日もあった. 各種鎮痛薬やブロックに対しても効果があまりなかった. 肩こりが非常に強いため, 頸椎由来の疼痛...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 11; no. 3; p. 270
Main Authors 平石禎子, 阿部幸枝, 田代典子, 小松研二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2004
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ISSN1340-4903

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Summary:変形性頸椎症などの頸椎由来の疼痛は, 後頭部から肩, 上肢, 背部にわたる広範な部位に痛みが生じるため, 他の疾患と誤診される症例がある. 今回我々は長期にわたり, 特発性三叉神経痛, 開胸術後痛と誤診され, 治療され続けていた2症例を経験したので報告する. 【症例1】38才女性. 11年前肺分画症にて下葉切除. 術後より開胸部位の肋間神経根部にほぼ一致した背部痛が認められ, 術後痛として治療されていた. 手術10年後に当科受診. 痛みは変動が激しく, 激痛で動けない日もあれば痛みのない日もあった. 各種鎮痛薬やブロックに対しても効果があまりなかった. 肩こりが非常に強いため, 頸椎由来の疼痛を疑い精査したところ, 軽度の変形性頸椎症を伴う頸椎後彎が認められた. 牽引治療や生活指導などで痛みはかなり改善している. 【症例2】37才男性. 鬱病と左第二枝の特発性三叉神経痛にて紹介された. 痛みが発作性でありカルバマゼピンが有効であった. この症例も肩こりが非常に強く肩にも痛みがあったため, 頸椎の精査を行ったところ, C4からC6の変形性脊椎症及びC5/6の椎間板ヘルニアが認められた. 頸部硬膜外ブロックやSGBなどにより, 三叉神経領域の痛みは改善された.
ISSN:1340-4903