腰部交感神経ブロックが著効を示した有痛性糖尿病性神経障害の2症例

糖尿病患者で1例は治療後急性神経障害, 1例は慢性神経障害によると考えられる下肢の疼痛に対して両側腰部交感神経ブロック(LSB)が著効を示した症例を経験したので報告する. 症例1 36才, 男性. 4ヶ月前にインスリン皮下投与を開始した直後から下腹部の疼痛が出現し, 大腿から胸部まで広がった. アロディニアも出現し歩行時に痛みが増強するため, 日常生活が不可能となった. 持続腰部硬膜外ブロック(LEB)で痛みが劇的に改善しブロックを中止すると悪化するため, LSBを施行し疼痛の著明な低下を得た. 症例2 57才, 男性. 13年前から糖尿病の治療を受けていた. 3年前蜂窩織炎治療中に下肢の神経...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 8; no. 3; p. 167
Main Authors 仁熊敬枝, 大川雅廣, 八井田豊, 黒田早苗, 松本睦子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2001
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ISSN1340-4903

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Summary:糖尿病患者で1例は治療後急性神経障害, 1例は慢性神経障害によると考えられる下肢の疼痛に対して両側腰部交感神経ブロック(LSB)が著効を示した症例を経験したので報告する. 症例1 36才, 男性. 4ヶ月前にインスリン皮下投与を開始した直後から下腹部の疼痛が出現し, 大腿から胸部まで広がった. アロディニアも出現し歩行時に痛みが増強するため, 日常生活が不可能となった. 持続腰部硬膜外ブロック(LEB)で痛みが劇的に改善しブロックを中止すると悪化するため, LSBを施行し疼痛の著明な低下を得た. 症例2 57才, 男性. 13年前から糖尿病の治療を受けていた. 3年前蜂窩織炎治療中に下肢の神経障害が顕著となった. 血糖コントロールの安定に伴い知覚障害は改善したが, 下肢の痛みが出現し睡眠障害が著明となった. 1回法のLEBで2日間の疼痛軽減効果が得られ, 7回LEBを行った後LSBを行い下肢痛はほぼ消失した. いずれの症例も糖尿病性神経障害による痛みであるが病期が異なり, 痛みの発生機序も異なるものと考えられた. しかし両症例ともにLSBが著効を示したことより, その効果発現の機序などを文献的考察を加えて報告する.
ISSN:1340-4903