乳癌の硬膜外転移によりホルネル症候群を来した一症例
乳癌手術3年6ヶ月後にホルネル症候群, 上肢の疼痛および麻痺をきたし, 1年後に硬膜外転移が確認された症例を経験した. <症例>62才, 女性. 94年5月, 右乳癌にて手術施行. 97年11月頃より右上肢の疼痛および麻痺が出現した. 98年2月に当科を受診した時に右側のホルネル症候群が認められた. トリガー・ポイントヘの局注, 肩甲上神経ブロック, NSAIDs等の内服による治療を行うと同時に精査を行った. 4月に行ったMRIでは頸椎のC6/7の椎間板ヘルニアが確認されたが, 頚部CT, 脳CT, 骨シンチでは異常所見はえられなかった. その後左側頚部リンパ節転移, 胸壁転移が発...
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| Published in | 日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 86 |
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| Main Authors | , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
日本ペインクリニック学会
2000
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| Online Access | Get full text |
| ISSN | 1340-4903 |
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| Summary: | 乳癌手術3年6ヶ月後にホルネル症候群, 上肢の疼痛および麻痺をきたし, 1年後に硬膜外転移が確認された症例を経験した. <症例>62才, 女性. 94年5月, 右乳癌にて手術施行. 97年11月頃より右上肢の疼痛および麻痺が出現した. 98年2月に当科を受診した時に右側のホルネル症候群が認められた. トリガー・ポイントヘの局注, 肩甲上神経ブロック, NSAIDs等の内服による治療を行うと同時に精査を行った. 4月に行ったMRIでは頸椎のC6/7の椎間板ヘルニアが確認されたが, 頚部CT, 脳CT, 骨シンチでは異常所見はえられなかった. その後左側頚部リンパ節転移, 胸壁転移が発見され化学療法が開始された. 化学療法により奏効し転移巣は劇的に縮小したがホルネル症候群は消失しなかった. 99年2月に左下肢の脱力感が出現したため, 再度MRIを施行し硬膜外転移が確認された. 直ちに放射線療法が開始されたが, 脳転移, 肺転移により症状出現2年後に死亡した. 結語:頚部硬膜外への転移を画像上早期に診断する事は容易なことではないが, ホルネル症候群という臨床症状を重視し, 度重なる精査が必要であったと痛感した. |
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| ISSN: | 1340-4903 |