経皮的に作用させたケタミンの電流知覚閾値への影響

今回私達はケタミンを皮膚表面に塗布した場合, 電流知覚閾値に影響するか否かを検討した. 健康成人5人のボランティアを対象とし, 両側前腕内側尺骨側に電流知覚閾値測定を行い, 続いて筋注用ケタミン500mg/10ml, あるいは生食10mlを含ませたガーゼを左右いずれかに貼付した上から密封性フィルムで被い2時間経過後, 同様に電流知覚閾値測定を行った. 前後の測定値の比は, 生食側2000Hz:133±55%, 250Hz:113±42%, 5Hz:158±87%, ケタミン側2000Hz:105±18%, 250Hz:123±46%, 5Hz:372±181%で5Hzでケタミン側は生食側に比較...

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Published in日本ペインクリニック学会誌 Vol. 7; no. 3; p. 85
Main Authors 野萱純子, 小松久男, 田家諭, 別宮小由理, 穴吹大介, 横野諭, 小栗顕二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本ペインクリニック学会 2000
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ISSN1340-4903

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Summary:今回私達はケタミンを皮膚表面に塗布した場合, 電流知覚閾値に影響するか否かを検討した. 健康成人5人のボランティアを対象とし, 両側前腕内側尺骨側に電流知覚閾値測定を行い, 続いて筋注用ケタミン500mg/10ml, あるいは生食10mlを含ませたガーゼを左右いずれかに貼付した上から密封性フィルムで被い2時間経過後, 同様に電流知覚閾値測定を行った. 前後の測定値の比は, 生食側2000Hz:133±55%, 250Hz:113±42%, 5Hz:158±87%, ケタミン側2000Hz:105±18%, 250Hz:123±46%, 5Hz:372±181%で5Hzでケタミン側は生食側に比較して有意に比が高く, 従ってケタミン塗布後に閾値が上昇したことが示された. ケタミンは中枢性に鎮痛作用を示すのみならず, 単独あるいは局所麻酔薬と併用して局所注入することによって, 末梢性に術後痛を軽減したり動物の痛み刺激反応を低下させたりすることが報告されている. 今回の報告はケタミンが経皮的に吸収されてc-fiberを介した知覚に影響する可能性を示している.
ISSN:1340-4903