4 大動脈瘤の外科的治療, 血管内治療 : ハイブリッド治療による弓部および胸腹部大動脈瘤手術の低侵襲化

「はじめに」高齢化社会における大動脈瘤手術において低侵襲化は喫緊の課題であり, 腹部大動脈瘤に対してはすでにステントグラフト内挿術(EVAR)が半数以上の症例で選択されている. 胸部のステントグラフト内挿術(TEVAR)は2008年に最初のステントグラフトが薬事承認を得て以来, 導入が進んでおり, 特に下行大動脈では走行が直線的であるためTEVARを容易に施行できるため, メリットが大きいが, 大動脈基部から上行大動脈病変に対するステントグラフト治療はいまだ開発段階にある. したがって, 使用可能なステントグラフトはあるが, 主要分枝への血流温存も必要な「弓部」および「胸腹部」大動脈領域におけ...

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Published in心臓 Vol. 54; no. 6; pp. 646 - 652
Main Authors 清家愛幹, 松田均
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団・日本循環器学会 15.06.2022
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ISSN0586-4488

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Summary:「はじめに」高齢化社会における大動脈瘤手術において低侵襲化は喫緊の課題であり, 腹部大動脈瘤に対してはすでにステントグラフト内挿術(EVAR)が半数以上の症例で選択されている. 胸部のステントグラフト内挿術(TEVAR)は2008年に最初のステントグラフトが薬事承認を得て以来, 導入が進んでおり, 特に下行大動脈では走行が直線的であるためTEVARを容易に施行できるため, メリットが大きいが, 大動脈基部から上行大動脈病変に対するステントグラフト治療はいまだ開発段階にある. したがって, 使用可能なステントグラフトはあるが, 主要分枝への血流温存も必要な「弓部」および「胸腹部」大動脈領域における治療において低侵襲化をいかに図るかが, 大動脈瘤手術全体の成績向上にかかっているといえる. 本稿では, 「弓部」および「胸腹部」大動脈瘤に対して, 低侵襲化を目的として行われている「ハイブリッド治療」について述べる.
ISSN:0586-4488