O-404 安静時狭心症, 低電位差と異常Q波を呈していた36歳男性の心筋生検で特発性心筋変性・線維化を認めた症例についての1考察

信州の食肉製造会社勤務の36歳, 男性が, 安静時狭心症を主訴として信州大学病院を受診. 心電図は低電位差著明でII, III, aVFにQS波をみるほかは著変なく, 冠状動脈造影検査を含む血行動態やRI検査をしても異常を認めないので心筋症を疑い, 右室心内膜心筋生検を施行した. そこで有意な心筋細胞の退行性変性と心筋間質線維化を認めた. 次いで狭心症の成因について問診をしたところ, 冷凍室にしばしば長時間滞在して仕事をして反復性寒冷刺激を受けていたためかと推定し, 配転して冷凍室に入らないよう生活指導したところ, 狭心症は消失した. 本例についてはDiltiazemを投与して経過をみていて大...

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Published in心臓 Vol. 42; no. 10; p. 1370
Main Authors 関口守衛, 矢崎善一, 西川俊郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本心臓財団 2010
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ISSN0586-4488

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Summary:信州の食肉製造会社勤務の36歳, 男性が, 安静時狭心症を主訴として信州大学病院を受診. 心電図は低電位差著明でII, III, aVFにQS波をみるほかは著変なく, 冠状動脈造影検査を含む血行動態やRI検査をしても異常を認めないので心筋症を疑い, 右室心内膜心筋生検を施行した. そこで有意な心筋細胞の退行性変性と心筋間質線維化を認めた. 次いで狭心症の成因について問診をしたところ, 冷凍室にしばしば長時間滞在して仕事をして反復性寒冷刺激を受けていたためかと推定し, 配転して冷凍室に入らないよう生活指導したところ, 狭心症は消失した. 本例についてはDiltiazemを投与して経過をみていて大過なかったが, 発症は年を経た2009年には狭心症が冷凍室に関係なく出現しており, 非侵襲的検査では著変なく, 成因は不明であるが, microangiopathyのためかと考えている. 心筋生検が唯一の有用な検査となり得る1例として報告する.
ISSN:0586-4488