乳児用調製粉乳(PIF)の調乳および保存方法がEnterobacter sakazakiiの生残と増殖に及ぼす影響

E. sakazakiiにおける感染リスクの低減対策として、PIFの調乳湯温による殺菌効果とその保存温度に対するE. sakazakiiの消長を検討した。加熱の指標とされているD値は、ATCC 29004株が60℃で3.6分、HT 022株が1.9分で、HT 028株については52℃において1.6分であった。PIFの調乳湯温におけるE. sakazakiiの殺菌効果については、湯温60℃では1logCFU/mL以下、湯温70℃では1〜2logCFU/mL、湯温80℃では5logCFU/mL以上の殺菌効果が得られた。室温ならびに低温化でのE. sakazakiiの増殖は、5℃ではすべての供試菌株...

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Published inShokuhin eiseigaku zasshi Vol. 50; no. 3; pp. 109 - 116
Main Authors 荻原, 博和, 露木, 朝子, 古川, 壮一, 森永, 康, 五十君, 静信
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.06.2009
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ISSN0015-6426

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Summary:E. sakazakiiにおける感染リスクの低減対策として、PIFの調乳湯温による殺菌効果とその保存温度に対するE. sakazakiiの消長を検討した。加熱の指標とされているD値は、ATCC 29004株が60℃で3.6分、HT 022株が1.9分で、HT 028株については52℃において1.6分であった。PIFの調乳湯温におけるE. sakazakiiの殺菌効果については、湯温60℃では1logCFU/mL以下、湯温70℃では1〜2logCFU/mL、湯温80℃では5logCFU/mL以上の殺菌効果が得られた。室温ならびに低温化でのE. sakazakiiの増殖は、5℃ではすべての供試菌株の発育が抑制され、10℃ではHT 028株のみ増加する傾向が認められた。25℃では保存4時間後には供試3菌株とも増殖し、保存16時間後には8logCFU/mLに増加した。以上のことから、調乳に使用する湯温は70℃以上で調乳することがE. sakazakiiの死滅に有効と考えられた。さらに調乳後は5℃以下での保存が好ましく、2時間以上の保存は避けることがE. sakazakiiの感染リスク低減に有効と考えられた。
Bibliography:780149
ZZ00009680
ISSN:0015-6426