マウス線維肉腫の移植腫瘍系モデルにおける腫瘍増殖に対する銅キレート剤トリエンチンとX線照射の複合効果

銅は血管新生に必要であることが広く知られている。私共はマウス可移植性線維肉腫QRsp-11細胞を使用した移植腫瘍系において銅キレート剤であるトリエンチンとX線照射の複合処理の腫瘍増殖に対する効果を検討した。また、腫瘍細胞と内皮細胞におけるin vitroでの複合処理による細胞致死効果の相互作用について検討した。トリエンチン処理マウスにおいて腫瘍組織と血清中の銅濃度は非処理マウスに比べて有意に低い値を示した。腫瘍細胞の移植後10〜24日の間、トリエンチン処理あるいはX線照射したマウスにおいては対照のマウスよりも腫瘍体積の増加は遅いことが示された。3GyでのX線照射とトリエンチン処理は腫瘍増殖に対...

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Published inJournal of veterinary medical science Vol. 69; no. 10; pp. 1039 - 1045
Main Authors 林, 正信, 平井, 亮, 石原, 勇介, 堀口, 昇, 遠藤, 大二, 奥井, 登代
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.10.2007
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ISSN0916-7250

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Summary:銅は血管新生に必要であることが広く知られている。私共はマウス可移植性線維肉腫QRsp-11細胞を使用した移植腫瘍系において銅キレート剤であるトリエンチンとX線照射の複合処理の腫瘍増殖に対する効果を検討した。また、腫瘍細胞と内皮細胞におけるin vitroでの複合処理による細胞致死効果の相互作用について検討した。トリエンチン処理マウスにおいて腫瘍組織と血清中の銅濃度は非処理マウスに比べて有意に低い値を示した。腫瘍細胞の移植後10〜24日の間、トリエンチン処理あるいはX線照射したマウスにおいては対照のマウスよりも腫瘍体積の増加は遅いことが示された。3GyでのX線照射とトリエンチン処理は腫瘍増殖に対してほぼ同程度の抑制効果を示し、また、3GyでのX線照射とトリエンチンでの複合処理はX線を6Gy照射したマウスにおける腫瘍増殖と同様な抑制効果を示した。これらの結果はトリエンチンとX線が腫瘍増殖に対し相加的に抑制効果を有することを示した。QRsp-11細胞とマウスならびにウシ内皮細胞をX線照射後トリエンチン処理した際の細胞生存率はトリエンチンあるいはX線での単独処理した細胞の生存率の積とほぼ同一の値を示した。また、トリエンチンで前処理した後にX線照射した細胞の生存率は前処理しなかった細胞の生存率よりも低いことが示された。
Bibliography:760048
ZZ00004754
ISSN:0916-7250