eCG/hCG処理した未成熟雌マウスの卵巣におけるPin1(ペプチジルプロピルイソメラーゼ)の発現

プロリン(Ser/hr-Pro)の前に位置する特定のセリンまたはトレオニン残基のタンパク質リン酸化は、多様な細胞プロセスにおけるシグナル伝達メカニズムの中心である。Pin1は、特定のタンパク質に結合するリン酸化されたSer/hr-Proだけをisomerizesする酵素であり、タンパク質の構造的な変化を誘発する。多くのタンパク質が卵巣でリン酸化されるが、卵巣におけるPin1の役割はまだ知られていない。そこで本研究は、マウス卵巣におけるPin1タンパク質およびmRNA発現に関して性腺刺激ホルモンの影響を検討した。定量的PCR分析によって、Pin1 mRNA発現が無処理の卵巣に比べ妊馬血清性性腺刺...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 52; no. 2; pp. 287 - 291
Main Authors 清水, 隆, 秋山, 弘匡, 阿部, 靖之, 佐々田, 比呂志, 佐藤, 英明, 宮本, 明夫, 内田, 隆史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.04.2006
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ISSN0916-8818

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Summary:プロリン(Ser/hr-Pro)の前に位置する特定のセリンまたはトレオニン残基のタンパク質リン酸化は、多様な細胞プロセスにおけるシグナル伝達メカニズムの中心である。Pin1は、特定のタンパク質に結合するリン酸化されたSer/hr-Proだけをisomerizesする酵素であり、タンパク質の構造的な変化を誘発する。多くのタンパク質が卵巣でリン酸化されるが、卵巣におけるPin1の役割はまだ知られていない。そこで本研究は、マウス卵巣におけるPin1タンパク質およびmRNA発現に関して性腺刺激ホルモンの影響を検討した。定量的PCR分析によって、Pin1 mRNA発現が無処理の卵巣に比べ妊馬血清性性腺刺激ホルモン(eCG)処理した卵巣で有意に増加することが示された。しかし、ヒト絨毛性性腺刺激ホルモン(hCG)は、eCGで増加したPin1 mRNA発現を減少させた。Pin1のタンパク質発現は、mRNAの発現と同じ傾向を示した。一方、Pin1発現を制御するE2F転写制御因子のmRNA発現はeCG処理した卵巣で減少した。このことは、性腺刺激ホルモンによるPin1発現力がE2F転写因子を介さないかもしれないことを示唆している。本研究結果は、Pin1が卵胞発育過程におけるタンパク質情報伝達のための重要な要因であるかもしれないことを示唆している。
Bibliography:ZZ00014744
724388
ISSN:0916-8818