肉用種ドナー群の卵胞嚢腫発生に対する膣内留置型プロジェステロン製剤の有効性

肉用種ドナー群の繁殖管理における膣内留置型プロジェステロン製剤(CIDR)の有効性を検討した。ドナーの過剰排卵は卵胞刺激ホルモン製剤とプロスタグランディンF2α(PGF2α)によって2-3月間隔で誘起し、採胚後、PGF2αによる発情同期化を行っていた。1996年から1998にかけてドナーの約20%に卵胞嚢腫が発生した。まず、卵胞嚢腫に対するCIDRの治療効果を評価する目的で、1997年から1998年にかけて発生した28例の卵胞嚢腫牛にCIDRを14日間留置した。CIDR除去後、28例のドナーすべてに発情行動と黄体家伊勢が確認された。このうち64%では採胚を反復した後も卵胞嚢腫の再発は見られなか...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 50; no. 3; pp. 369 - 373
Main Authors 轟木, 淳一, 野口, 純子, 菊地, 和弘, 金子, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.06.2004
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ISSN0916-8818

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Summary:肉用種ドナー群の繁殖管理における膣内留置型プロジェステロン製剤(CIDR)の有効性を検討した。ドナーの過剰排卵は卵胞刺激ホルモン製剤とプロスタグランディンF2α(PGF2α)によって2-3月間隔で誘起し、採胚後、PGF2αによる発情同期化を行っていた。1996年から1998にかけてドナーの約20%に卵胞嚢腫が発生した。まず、卵胞嚢腫に対するCIDRの治療効果を評価する目的で、1997年から1998年にかけて発生した28例の卵胞嚢腫牛にCIDRを14日間留置した。CIDR除去後、28例のドナーすべてに発情行動と黄体家伊勢が確認された。このうち64%では採胚を反復した後も卵胞嚢腫の再発は見られなかったが、36%では次の採胚後に卵胞嚢腫が再発した。次にCIDRの卵胞嚢腫発生の低減効果を検討する目的で、PGF2αに変えてCIDRによって、1999年から2000年にかけて同一牛群を用いて採胚後の発情同期化を行った。ドナーの約30%が卵胞嚢腫の病歴を持つにもかかわらず、CIDRによって発情同期化を行った場合には、1999年には卵胞嚢腫の発生率は3%に低下し、2000年には発生は観察されなかった。以上の結果から、CIDRの留置がドナーの卵胞嚢腫の治療および罹患ドナーの再利用に有効であることが示された。さらに、採胚後のCIDRによる発情同期化は、ドナー牛群の卵胞嚢腫の発生率に低減に有効である可能性が示された。
Bibliography:ZZ00014744
700349
ISSN:0916-8818