マウス乳腺上皮細胞(EpH4/K6)の増殖能に及ぼす乳清酸性タンパク質の抑制作用

乳清酸性タンパク質(WAP)遺伝子を安定的に発現するマウス乳腺上皮細胞、EpH4/K6(WAP‐EpH4)株を用いて、WAPの細胞増殖能に及ぼす影響を調べた。対照には、ベクターのみを導入したEpH4細胞株ならびにWAP安定発現NIH33細胞株を用いた。WAP‐EpH4細胞株では、対照細胞株に比べ、以下の事実が認められた。細胞増殖能が有意に低下し、アポトーシスは促進されていなかったが、BrdUの取り込み量が低下していた。サイクリンD群(D1、D2、D3)の発現を調べた結果、サイクリンD1の発現が有意に減少していた。また、WAP-EpH4細胞株の培養液でEpH4細胞を培養すると細胞増殖が低下した。...

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Published inThe Journal of reproduction and development Vol. 50; no. 1; pp. 87 - 96
Main Authors 池田, 佳代子, 生見, 尚子, 岩森, 督子, 大澤, 恵美, 内藤, 邦彦, 東條, 英昭
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 01.02.2004
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ISSN0916-8818

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Summary:乳清酸性タンパク質(WAP)遺伝子を安定的に発現するマウス乳腺上皮細胞、EpH4/K6(WAP‐EpH4)株を用いて、WAPの細胞増殖能に及ぼす影響を調べた。対照には、ベクターのみを導入したEpH4細胞株ならびにWAP安定発現NIH33細胞株を用いた。WAP‐EpH4細胞株では、対照細胞株に比べ、以下の事実が認められた。細胞増殖能が有意に低下し、アポトーシスは促進されていなかったが、BrdUの取り込み量が低下していた。サイクリンD群(D1、D2、D3)の発現を調べた結果、サイクリンD1の発現が有意に減少していた。また、WAP-EpH4細胞株の培養液でEpH4細胞を培養すると細胞増殖が低下した。さらに、WAP‐EpH4細胞株を細胞外基質(ECM)上で培養した実験から、ECMの存在によりWAPの細胞増殖抑制作用が有意に促進された。以上の結果から、WAPは、パラクライン的にサイクリンD1発現の抑制を介し、ECMの存在下で乳腺上皮細胞の増殖を抑制していることが認められた。
Bibliography:ZZ00014744
690403
ISSN:0916-8818