10 石川県河北潟干拓地における蚊の調査成績について
演者らは, 近年危惧されている気候変動・地球温暖化に伴う蚊媒介性感染症の流行の懸念に対し, 現時点での媒介蚊の発生状況を把握する必要を感じ, 2, 3の地域で調査を行って来ている. 石川県の河北潟干拓地を調査対象に選んだ理由は, 干拓される前の戦前にマラリア患者, 戦後には日本脳炎患者の発生が多かったことと, 昭和60年(1985年)の完成後は, 干拓地の約1/3を占める乳牛団地が出来たことによる. 現在は, 金沢市, 内灘町, かほく市, 津幡町にまたがる面積1356haの68%で大麦や大豆などの穀類, 16%で飼料作物が作付けされ, 蚊の発生源になりうる水田(加工米)と蓮田も11%(約15...
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Published in | Medical Entomology and Zoology Vol. 61; no. 2; p. 160 |
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Main Authors | , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本衛生動物学会
15.06.2010
The Japan Society of Medical Entomology and Zoology |
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ISSN | 0424-7086 |
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Summary: | 演者らは, 近年危惧されている気候変動・地球温暖化に伴う蚊媒介性感染症の流行の懸念に対し, 現時点での媒介蚊の発生状況を把握する必要を感じ, 2, 3の地域で調査を行って来ている. 石川県の河北潟干拓地を調査対象に選んだ理由は, 干拓される前の戦前にマラリア患者, 戦後には日本脳炎患者の発生が多かったことと, 昭和60年(1985年)の完成後は, 干拓地の約1/3を占める乳牛団地が出来たことによる. 現在は, 金沢市, 内灘町, かほく市, 津幡町にまたがる面積1356haの68%で大麦や大豆などの穀類, 16%で飼料作物が作付けされ, 蚊の発生源になりうる水田(加工米)と蓮田も11%(約150ha)を占めている. 牛は約1600頭が飼養されている. さらに, 干拓地の外周の北・東・南側は大部分が広大な水田である. ここでの調査は2008年から開始し, その成績は今春の第61回本大会で報告した. 今回は2009年の調査成績について報告する. 2009年は, ドライアイスを付加したCDC型吸引トラップ6台を干拓地内に, 4台を干拓地の外周に, 16時前後に設置し, 翌朝10時前後に回収することで行った. 調査は6月中旬から1週おきに行った. 9月9日までの成績では, シナハマダラカ群は全く捕集されず, アカイエカ群が7159個体, コガタアカイエカ4718個体, ヒトスジシマカ35個体などが捕集されている. 干拓地内ではアカイエカ群が明らかに多数捕集され, 外周ではコガタアカイエカの比率が高くなる傾向がみられた. また, 外周よりも干拓地内での捕集数が多い状況がみられた. なお, アカイエカは6月下旬に, コガタアカイエカは7月下旬から8月下旬に多く捕集される消長を示した. |
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ISSN: | 0424-7086 |