1.病院病理部の作業環境改善

病院病理部から労働環境の調査を依頼された. 気中ホルムアルデヒド, キシレン, 尿中メチル馬尿酸を測定し, 作業環境の改善の資料となった事例を報告する. 病理部では手術の摘出組織から病理切片スライドを作成し, 病理医や検査技師はホルムアルデヒドや標本染色液のキシレンに曝露される. 臓器切出し作業台におけるホルムアルデヒド濃度は, 作業前で0.1ppm, 作業中1.85ppm. 染色作業台のキシレン濃度は, 10から20ppm. 作業終了時の3名の尿中メチル馬尿酸は, 0.45, 0.30, 0.25g/lであった. 切出し作業は短時間ではあるが厚労省の指針値を越え, 尿中メチル馬尿酸も有規則分...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 46; no. 6; p. 234
Main Authors 市場正良, 松本明子, 友国勝麿
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.2004
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:病院病理部から労働環境の調査を依頼された. 気中ホルムアルデヒド, キシレン, 尿中メチル馬尿酸を測定し, 作業環境の改善の資料となった事例を報告する. 病理部では手術の摘出組織から病理切片スライドを作成し, 病理医や検査技師はホルムアルデヒドや標本染色液のキシレンに曝露される. 臓器切出し作業台におけるホルムアルデヒド濃度は, 作業前で0.1ppm, 作業中1.85ppm. 染色作業台のキシレン濃度は, 10から20ppm. 作業終了時の3名の尿中メチル馬尿酸は, 0.45, 0.30, 0.25g/lであった. 切出し作業は短時間ではあるが厚労省の指針値を越え, 尿中メチル馬尿酸も有規則分布区分1ではあるが改善の余地はある. 病理部はこれまで病院内で作業環境の改善が遅れていた場所であり, 今回の環境測定の結果, 局所排気装置が設置された. 再測定を行った結果, ホルムアルデヒドやキシレンは大きく低下した.
ISSN:1341-0725