20. 進行性骨化性線維異形成症(FOP)の発症を司るBMP情報伝達機構の解明と骨再生への応用

小児期から筋組織内に異所性の骨形成が進行する進行性骨化性線維異形成症(FOP)の発症機構を解明することで, 骨再生へ応用することを目的とする. 2006年にFOPの原因遺伝子としてBMP受容体の1つであるALK2が同定され, 206番目のアルギニンがヒスチジンに変異していること(R206H)が報告されたが, この変異によるALK2の機能的変化は不明である. マウス筋芽細胞株C2C12細胞にエピトープ・タグを付加したR206H変異体を遺伝子導入し, 変異体を恒常的に発現する細胞株(R206H)を樹立した. R206H細胞をBMP2で刺激すると, 親株と比較して著明なSmad1/5のリン酸化, 転...

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Published in九州歯科学会雑誌 Vol. 62; no. 5; pp. 168 - 169
Main Authors 伊東佑記, 福島秀文, 丸山俊正, 細川隆司, 自見英治郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 九州歯科学会 25.01.2009
Kyushu Dental Society
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ISSN0368-6833

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Summary:小児期から筋組織内に異所性の骨形成が進行する進行性骨化性線維異形成症(FOP)の発症機構を解明することで, 骨再生へ応用することを目的とする. 2006年にFOPの原因遺伝子としてBMP受容体の1つであるALK2が同定され, 206番目のアルギニンがヒスチジンに変異していること(R206H)が報告されたが, この変異によるALK2の機能的変化は不明である. マウス筋芽細胞株C2C12細胞にエピトープ・タグを付加したR206H変異体を遺伝子導入し, 変異体を恒常的に発現する細胞株(R206H)を樹立した. R206H細胞をBMP2で刺激すると, 親株と比較して著明なSmad1/5のリン酸化, 転写活性の上昇およびアルカリホスファターゼ活性の上昇が認められた. さらにFOPの病態モデルを確立するために, 骨格筋特異的にALK2(R206H)を発現するトランスジェニックマウスのトランスジーンを作製した. ALK2(R206H)は構成的活性型変異体であること, さらにBMPシグナル増強因子との相乗効果により, 骨芽細胞への分化が誘導されると考えられた. このBMPシグナル増強因子を同定できれば, 骨再生への応用が期待できる.
ISSN:0368-6833