25. 「3つの行動」を用いた禁煙支援方法の検討

「目的」ニコチン依存症には身体的依存と心理的依存があり, 禁煙後の喫煙欲求は禁煙を困難にする. 禁煙外来では, 薬物療法による身体的依存の支援だけでなく, 心理的依存からの脱却も併せた支援が必要と考える. 今回, 禁煙に有効とされた3つの行動を提案し, 禁煙成功に向けた支援方法を検討したので報告する. 「対象者」2010年6月から2011年9月の期間に呼吸器内科禁煙外来を受診した患者46名(男性28名, 女性18名). 「方法」1. 介入方法 初診時に喫煙欲求の対処行動として, 「環境を変える(以下「環境」)」「行動を変える(以下「行動」)」「置き換える(以下「置換」)」の3つの行動を提案し,...

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Published inJOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 1; p. 129
Main Authors 楠田しのぶ, 松永京子, 木戸晴代, 西田千夏, 川波由紀子, 吉井千春, 迎寛
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 産業医科大学 01.03.2012
産業医科大学学会
The UOEH Association of Health Sciences
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ISSN0387-821X

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Summary:「目的」ニコチン依存症には身体的依存と心理的依存があり, 禁煙後の喫煙欲求は禁煙を困難にする. 禁煙外来では, 薬物療法による身体的依存の支援だけでなく, 心理的依存からの脱却も併せた支援が必要と考える. 今回, 禁煙に有効とされた3つの行動を提案し, 禁煙成功に向けた支援方法を検討したので報告する. 「対象者」2010年6月から2011年9月の期間に呼吸器内科禁煙外来を受診した患者46名(男性28名, 女性18名). 「方法」1. 介入方法 初診時に喫煙欲求の対処行動として, 「環境を変える(以下「環境」)」「行動を変える(以下「行動」)」「置き換える(以下「置換」)」の3つの行動を提案し, 禁煙外来12週間後(禁煙外来終了時)に3つの行動の実施状況をアンケート調査した. 2. 分析方法 対象をA群(「環境」「行動」「置換」の3つ実施で成功)とB群(「環境」「置換」の2つ実施で成功)の2群に分け, 提案した3つの行動の実施状況と支援方法を検討した. 統計解析は, 2群間の比較にMann-WhitneyのU検定を用いた. 「結果」(1)禁煙外来12週間後まで受診し禁煙成功した者は, 30名中27名(A群13名, B群13名, 1つ実施1名)であった. (2)2群の行動別の平均実施数では, B群は「環境」の実施数が有意に少なく(P=0.0268), 「置換」に差はなかった. (3)B群は, 「深呼吸をする, 水やお茶を飲む」などの手軽な行動の実施が多い傾向にあった. 「考察」長年培われた生活習慣は, すぐに変更することが難しい. 1本の喫煙により70~90%が3ヶ月後に再喫煙状態となる危険性がある. 日常生活の中でタバコを吸うきっかけは, 非常に多く喫煙欲求を生じやすくする. 喫煙欲求の持続時間は3分程度と短い. その間をしのぐことができる手軽な喫煙欲求への対処行動を身につけることは, 禁煙成功への近道となる. 「結語」禁煙成功後も喫煙欲求や社会環境など, 常に再喫煙の危険性が潜んでいる. 禁煙外来終了後も見据え, 個々に合った喫煙欲求への対処行動を身につけ禁煙継続ができるような支援方法が必要である.
ISSN:0387-821X