48. 立脚期制御膝継手付き長下肢装具を使用したときの歩行解析
「目的」大腿四頭筋筋力低下の患者に対する長下肢装具として, より正常に近い歩行をするために, 立脚期に膝を伸展位に固定し, 遊脚期に自由に屈曲できる膝継手を開発している. 本研究では, 装具足底の踵部と前足部の圧センサーにより足圧パターンを識別し, スイスロック膝継手をコントロールする立脚期制御膝継手プロトタイプを製作した. 本継手を組み込んだ長下肢装具を健常者に装着し, 歩行解析を行い, 有用性の検証を行った. 「方法」立脚期制御膝継手を組み込んだ長下肢装具を健常者に装着し, 3次元動作解析を行い, 有用性を検証した. 対象者は, 健常成人4名(すべて男性)であった. 左下肢に立脚制御膝継手...
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Published in | JOURNAL OF UOEH Vol. 34; no. 1; p. 140 |
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Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
産業医科大学
01.03.2012
産業医科大学学会 The UOEH Association of Health Sciences |
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ISSN | 0387-821X |
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Summary: | 「目的」大腿四頭筋筋力低下の患者に対する長下肢装具として, より正常に近い歩行をするために, 立脚期に膝を伸展位に固定し, 遊脚期に自由に屈曲できる膝継手を開発している. 本研究では, 装具足底の踵部と前足部の圧センサーにより足圧パターンを識別し, スイスロック膝継手をコントロールする立脚期制御膝継手プロトタイプを製作した. 本継手を組み込んだ長下肢装具を健常者に装着し, 歩行解析を行い, 有用性の検証を行った. 「方法」立脚期制御膝継手を組み込んだ長下肢装具を健常者に装着し, 3次元動作解析を行い, 有用性を検証した. 対象者は, 健常成人4名(すべて男性)であった. 左下肢に立脚制御膝継手付き長下肢装具を装着し, 制御on(膝関節屈曲可能)と制御off(膝関節伸展位固定)での直線自由歩行を各2回行わせた. 3次元歩行解析装置(MA2000 アニマ社 東京), 床反力計(設置型フォースプレート アニマ社 東京)を使用し, 歩行解析を行った. スティックピクチャー, 膝関節角度, 歩行の対称性を確認した. 「結果」スティックピクチャーは, 全例において制御on時に明確な膝関節屈曲が見られた. 膝関節角度は, 制御onの状態では, 装具側膝屈曲最大平均28.3度(非装具側最大平均40.8度)であった. 制御off時に装具側の膝はほとんど屈曲がみられなかった. 制御off時の左右の遊脚期は, 平均右0.50秒/左0.33秒と非対称的であるが, 制御on時には, 平均右0.54秒/左0.58秒と対称に近い歩行になっていた. COP(足圧中心)は, 制御on立脚期に, より滑らかに移動することが全例で確認できた. 「考察」立脚期に膝を伸展位で固定し, 遊脚期には自由に屈曲できることで, より正常に近い歩行が可能となった. 今後は実用化に向けて, 生活場面での作動, 安全性および耐久性に関して, さらなる臨床研究が必要である. |
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ISSN: | 0387-821X |