3. 肺炎球菌感染により発症した血球貪食症候群の一例
症例は51歳男性. 発熱, 全身倦怠感を主訴に当院救急外来を受診し, その直後に呼吸不全, 意識消失が出現し, 集中治療が必要となった. 血液検査では白血球減少, 高LDH血症, 高フェリチン血症を認め, 喀痰培養, 血液培養から肺炎球菌が同定された. また, 骨髄生検の結果, マクロファージの細胞質内に貪食された細胞の核が多数認められ, 細菌関連血球貪食症候群と診断した. 免疫化学療法を開始するとともに, ペニシリン耐性肺炎球菌を考慮し, PAPM, その他の細菌感染を考慮しMINO, VCMを投与開始した. その後, 炎症反応は改善を認めたが, 血小板減少が進行し, 弟20病日に永眠された...
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Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 55; no. 4; p. 396 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.11.2005
Kitakanto Medical Society |
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ISSN | 1343-2826 |
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Summary: | 症例は51歳男性. 発熱, 全身倦怠感を主訴に当院救急外来を受診し, その直後に呼吸不全, 意識消失が出現し, 集中治療が必要となった. 血液検査では白血球減少, 高LDH血症, 高フェリチン血症を認め, 喀痰培養, 血液培養から肺炎球菌が同定された. また, 骨髄生検の結果, マクロファージの細胞質内に貪食された細胞の核が多数認められ, 細菌関連血球貪食症候群と診断した. 免疫化学療法を開始するとともに, ペニシリン耐性肺炎球菌を考慮し, PAPM, その他の細菌感染を考慮しMINO, VCMを投与開始した. その後, 炎症反応は改善を認めたが, 血小板減少が進行し, 弟20病日に永眠された. 細菌関連性血球貪食症候群の診断には, 血球減少を伴う重症感染に対して可能な限り早期に骨髄穿刺を施行し, 血液培養, ウイルス学的検査と併せ, 原因微生物の特定を急ぐ必要がある. また, 初期の免疫感染化学療法とともに感染コントロールが重要となる. わが国では肺炎球菌感染に伴う血球貪食症候群の報告はこれまで軽症型であった1例のみであり, 今回重症型の症例を経験したので報告した. |
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ISSN: | 1343-2826 |