学校歯科健診における顎関節部エコー診査の試み
学校保健法の改正に伴い, 1995年4月1日より, 学校歯科健診に歯列・咬合・顎関節の項目が追加された. 顎関節の異常の有無については視診・触診や関節雑音の有無などから判断して評価されている. これは顎関節円板転位の検出に主な目的があるものと考えられるが, 現時点では顎関節円板転位に対する予防医学的な方法論は確立されておらず, 学校健診で評価された結果に対する具体的な対処法に定見はない. 一方, 特に学童期においては臨床的に検出できない関節円板転位が多く存在することが知られている. われわれは画像診断の立場から, より正確に児童生徒における顎関節円板転位の頻度を明らかにする必要があると考え,...
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          | Published in | 歯科放射線 Vol. 41; no. suppl; p. 81 | 
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| Main Authors | , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            日本歯科放射線学会
    
        30.09.2001
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| ISSN | 0389-9705 | 
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| Summary: | 学校保健法の改正に伴い, 1995年4月1日より, 学校歯科健診に歯列・咬合・顎関節の項目が追加された. 顎関節の異常の有無については視診・触診や関節雑音の有無などから判断して評価されている. これは顎関節円板転位の検出に主な目的があるものと考えられるが, 現時点では顎関節円板転位に対する予防医学的な方法論は確立されておらず, 学校健診で評価された結果に対する具体的な対処法に定見はない. 一方, 特に学童期においては臨床的に検出できない関節円板転位が多く存在することが知られている. われわれは画像診断の立場から, より正確に児童生徒における顎関節円板転位の頻度を明らかにする必要があると考え, 1996年より学校歯科健診に顎関節部のエコー診査を取り入れて行って来ているが, 特定の学年のみの横断的データのため疫学的調査としての意義は少なかった. 今回, ある山間部の地方自治体の小中学校の児童生徒全員の顎関節部エコー診査を施行しデータを得ることができたので, その結果を報告する. 対象は小学校1年生から中学校3年生までの計354人であり, 2日間に渡って同一検者1名あたり約2分程度かけて顎関節部エコーを施行した. 顎関節円板転位判定基準は, 顎関節部皮膚面にカンペル平面に平行になるように深触子を当て, 水平断にて下顎頭外側端を覆う低エコー域(関節包)の厚みが4mm以上の場合に顎関節円板転位ありと判定した(AJNR Am J Neuroradiol 2001;22:728-734). 画像評価が困難であった3名は除外した. その結果, 両側に顎関節円板転位を認めた者は15名(4%), 片側に認めた者52名(15%), 両側とも認めなかった者284名(81%)であった. 年齢が高くなるほど両側に転位を認める者が多くなる傾向を認めたが, 年齢の増加とともに顎関節円板転位を有する者が増加する傾向は認められなかった. 今後は同一対象者の経時的変化を追跡していく予定である. | 
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| ISSN: | 0389-9705 |