献血者の確保対策

1964年, 献血を基調とした血液事業に転換を図ったが, 当時, わが国では買血是認意識が広く蔓延していたため, 献血者の確保は極めて困難であった. そこで, 多くの都道府県では地方行政の主導の元に献血者の確保が行われ, その結果, 輸血用血液の確保が可能となった. A. 登録制の導入 1986年, わが国に400ml全血献血及び血液成分献血が導入されたことから, 日赤血液センターには400ml及び成分献血者の確保が望まれ, その対策として, 各血液センターにおいて地域の実情にマッチした登録制が導入されてきた. すでに欧米においては登録制のシステムが殆ど確立されている. 欧米では, 献血希望者...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 43; no. 4; pp. 482 - 483
Main Author 横山繁樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.08.1997
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ISSN0546-1448

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Summary:1964年, 献血を基調とした血液事業に転換を図ったが, 当時, わが国では買血是認意識が広く蔓延していたため, 献血者の確保は極めて困難であった. そこで, 多くの都道府県では地方行政の主導の元に献血者の確保が行われ, その結果, 輸血用血液の確保が可能となった. A. 登録制の導入 1986年, わが国に400ml全血献血及び血液成分献血が導入されたことから, 日赤血液センターには400ml及び成分献血者の確保が望まれ, その対策として, 各血液センターにおいて地域の実情にマッチした登録制が導入されてきた. すでに欧米においては登録制のシステムが殆ど確立されている. 欧米では, 献血希望者に対してまず, 問診及びスクリーニング検査を行い, その結果, 問題のない人のみが登録され, そして登録者に対してのみ献血の受け入れを行っている国がある. このようなシステムは極めて合理的であるが, 文化, 宗教, 入種構成及び血液事業の実情等で差異のあるわが国にそのまま導入することは困難視され, したがって, わが国では各血液センターが行政や各種の献血協力団体及び献血に理解のある個人を対象に登録制への理解と協力を求めながら普及させてきたのが現状といえる. さらに, 従来からHLA適合血小板やRh陰性血, サイトメガロウイルス抗体陰性血を供給するために導入してきた登録制が, 有効な役割を果たしてきたことは言うまでもない.
ISSN:0546-1448