現象解明のためのモデル作成が看護の技を発展させる

「1. はじめに」身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下, あるいは停止させる. この状況が一定時間持続すると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる(日本褥瘡学会, 2005). 外力は, 患者の生活の場である床(とこ)や椅子から受けるものであり, 看護にとって褥瘡発生予防, 悪化防止のケアを提供することは, 重要な日常業務の一つである. これらの看護技術は進歩したのだろうか?臨床で深い褥瘡を持つ患者に遭遇した時, 看護師は次のように考える. この患者になぜ深い褥瘡ができたのだろか?自力で体位変換ができず仙骨部上に圧迫が長時間加わり不可逆的反応が皮膚および軟部組織に起こ...

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Published in日本看護科学会誌 Vol. 28; no. 1; pp. 89 - 90
Main Author 須釜淳子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本看護科学学会 20.03.2008
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ISSN0287-5330

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Summary:「1. はじめに」身体に加わった外力は骨と皮膚表層の間の軟部組織の血流を低下, あるいは停止させる. この状況が一定時間持続すると組織は不可逆的な阻血性障害に陥り褥瘡となる(日本褥瘡学会, 2005). 外力は, 患者の生活の場である床(とこ)や椅子から受けるものであり, 看護にとって褥瘡発生予防, 悪化防止のケアを提供することは, 重要な日常業務の一つである. これらの看護技術は進歩したのだろうか?臨床で深い褥瘡を持つ患者に遭遇した時, 看護師は次のように考える. この患者になぜ深い褥瘡ができたのだろか?自力で体位変換ができず仙骨部上に圧迫が長時間加わり不可逆的反応が皮膚および軟部組織に起こった結果かもしれない, 便・尿汚染による局所感染かもしれない, ギャッチアップによりせん断力が加わった結果かもしれない, 低栄養状態による組織耐久性低下の結果かもしれない. このように臨床ではすべての理由が「…かもしれない(推測)」であり, この推測の下に看護計画が立案され, 患者に提供される.
ISSN:0287-5330