8. 医学部におけるホルムアルデヒド対策

ホルムアルデヒド(FA)取り扱い作業場所において, 発生源の密閉化および既存の全体換気の一部を局所排気として利用した改善事例を報告する. 【場所の説明と問題点】産医大解剖学処置室(幅6.4m, 奥行5.7m, 高さ3m, 容積109m3)では, ご遺体の保存処置として10%ホルマリンを点滴する作業が行われてきた. 全体換気(排気口3ヶ所)の合計排風量20m3/min(換気回数11回)であった. 職場巡視において1)ホルマリン原液の希釈作業に対して対策が行われていないこと, 2)非密閉型保存容器を使用していたこと, 3)開放式の点滴瓶を使用していたこと, などの問題点が指摘された. 作業環境測定...

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Published in産業衛生学雑誌 Vol. 49; no. 6; pp. 235 - 236
Main Authors 西賢一郎, 大和浩, 角谷力, 江口将史, 中島民治, 明星敏彦, 太田雅規, 大藪貴子, 菊田彰夫, 田中勇武
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本産業衛生学会 20.11.2007
公益社団法人日本産業衛生学会
Japan Society for Occupational Health
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ISSN1341-0725

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Summary:ホルムアルデヒド(FA)取り扱い作業場所において, 発生源の密閉化および既存の全体換気の一部を局所排気として利用した改善事例を報告する. 【場所の説明と問題点】産医大解剖学処置室(幅6.4m, 奥行5.7m, 高さ3m, 容積109m3)では, ご遺体の保存処置として10%ホルマリンを点滴する作業が行われてきた. 全体換気(排気口3ヶ所)の合計排風量20m3/min(換気回数11回)であった. 職場巡視において1)ホルマリン原液の希釈作業に対して対策が行われていないこと, 2)非密閉型保存容器を使用していたこと, 3)開放式の点滴瓶を使用していたこと, などの問題点が指摘された. 作業環境測定を行ったところFA濃度は厚労省ガイドラインでFAを取り扱う特定作業場の評価基準(250ppb)より約8~15倍と高い濃度であった. 【改善内容】1)全体換気の一部を利用した局所排気を設置, 2)密閉式保存容器への変更, 3)密閉式点滴パックへの変更を行った. 【結果とまとめ】対策後のFA濃度は対策前の約10~20分の1に低減され, いずれの測定点でも評価基準を下回った. 大きな施設変更を伴わず, 効果的な作業環境改善が行われた事例であり, 他の医学部でも応用できると思われた.
ISSN:1341-0725