2. 食道癌EMRに対する遺残再発の検討
【目的】近年, 食道癌に対しても内視鏡的粘膜下層切開剥離法(ESD)による一括切除が普及しつつある. しかし, 出血穿孔といった重篤な合併症の出現率は依然高く, 安全な手技として普及するにはまだ時間がかかると考えられる. また, 従来法である内視鏡的粘膜切除術(EMR)による一括切除は切除範囲に限界がある. EMRによる分割切除が妥当かどうかを評価するため, 当科におけるEMR後の遺残再発を中心に検討を行う. 【対象】1995年から2004年の間に当院で施行された食道EMR症例のうち, 食道癌と診断された56例67病巣を対象とした. 平均年齢67.5歳(46歳~84歳), 男46例, 女10例...
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          | Published in | 山口医学 Vol. 54; no. 4; pp. 125 - 126 | 
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| Main Authors | , , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            山口大学医学会
    
        31.08.2005
     Yamaguchi University Medical Association  | 
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| ISSN | 0513-1731 | 
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| Summary: | 【目的】近年, 食道癌に対しても内視鏡的粘膜下層切開剥離法(ESD)による一括切除が普及しつつある. しかし, 出血穿孔といった重篤な合併症の出現率は依然高く, 安全な手技として普及するにはまだ時間がかかると考えられる. また, 従来法である内視鏡的粘膜切除術(EMR)による一括切除は切除範囲に限界がある. EMRによる分割切除が妥当かどうかを評価するため, 当科におけるEMR後の遺残再発を中心に検討を行う. 【対象】1995年から2004年の間に当院で施行された食道EMR症例のうち, 食道癌と診断された56例67病巣を対象とした. 平均年齢67.5歳(46歳~84歳), 男46例, 女10例であった. 【方法】EEMR‐tubeまたはEMR-cにより病変の切除を行った. 一括切除と分割切除について遺残再発と予後について検討した. 【結果】一括切除28病巣, 分割切除34病巣であった. 分割切除においても遺残再発を認めなかった. 異時性再発を5例に認めたが, いずれも治療後の瘢痕と連続性を認められておらず遺残再発ではないと判断した. なお, EMRの合併症として, 術後出血, 穿孔は認めていない. 食道狭窄を4例に認め, 全例バルーン拡張術により改善している. 上部消化管内視鏡による正診率(m1, m2, m3, sm1, sm2以深)は83. 1%であった. 組織学的深達度はm1, m2の37病巣, m3, sm1 29病巣, sm2以深1病巣であった. EMRの適応拡大が検討されている, m3, sm1の病巣については一括11病巣, 分割19病巣であった. | 
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| ISSN: | 0513-1731 |