4.脛骨神経縮小術後における足趾変形に対してブロック療法を行った1症例

症例は49歳, 女性. 脳梗塞を発症後, 両片麻痺となった. 屋内歩行は自立していたが, 下肢痙縮の増悪により右足趾の槌趾および右足関節尖足がみられるようになり, 次第に症状が増悪した. 変形と疼痛のために歩行が困難となったため, 痙縮ならびに変形の改善を目的として選択的右脛骨神経縮小術を施行された. 術後, 症状は軽減されたが, かわって右母趾の過伸展が出現した. 母趾MP関節の疼痛と装具の適合不良により再び歩行が困難となったため, 長母趾伸筋に対してモーターポイントブロック療法を行った. 変形は矯正され, 短下肢装具を着用して歩行が可能となった. 母趾過伸展の原因としては, 母趾屈筋群の筋...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 41; no. 2; p. 120
Main Authors 川上途行, 山田深, 田中尚文, 里宇明元, 高橋宣成, 鈴木幹次郎, 松本真以子, 長谷公隆, 千野直一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.02.2004
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:症例は49歳, 女性. 脳梗塞を発症後, 両片麻痺となった. 屋内歩行は自立していたが, 下肢痙縮の増悪により右足趾の槌趾および右足関節尖足がみられるようになり, 次第に症状が増悪した. 変形と疼痛のために歩行が困難となったため, 痙縮ならびに変形の改善を目的として選択的右脛骨神経縮小術を施行された. 術後, 症状は軽減されたが, かわって右母趾の過伸展が出現した. 母趾MP関節の疼痛と装具の適合不良により再び歩行が困難となったため, 長母趾伸筋に対してモーターポイントブロック療法を行った. 変形は矯正され, 短下肢装具を着用して歩行が可能となった. 母趾過伸展の原因としては, 母趾屈筋群の筋出力の低下, 相反抑制の減少, ならびに中枢神経による前核細胞への興奮性, 抑制性入力の変化によって, 長母趾伸筋の相対的な筋活動が亢進したためと考えられた. 選択的脛骨神経縮小術はその効果の調節に十分留意した上で, 長期的な経過観察が必要である.
ISSN:0034-351X