2.わが国における振動障害研究の動向
産業技術の発達とともに多くの振動工具が職場に導入されてきた. その歴史は比較的古く, 1839年にフランスで水力による空気削岩機が使用されたとの報告がある. 健康障害の報告は1911年イタリアのLorigaが最初とされ, わが国では1938年村越の報告がある. わが国における振動障害の研究は, 1930年代からの臨床事例研究を主とする時代, 1960年代からの疫学的研究と早期診断法を含む予防対策確立の時代, 1980年代からの欧米との研究交流の時代に分けることができる. 振動障害の体系的な予防対策がわが国において先進的に確立されたことは特筆すべきである. その後, 欧米のより実証的な研究との交...
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Published in | 産業衛生学雑誌 Vol. 46; no. 2; p. 64 |
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Main Author | |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本産業衛生学会
20.03.2004
公益社団法人日本産業衛生学会 Japan Society for Occupational Health |
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ISSN | 1341-0725 |
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Summary: | 産業技術の発達とともに多くの振動工具が職場に導入されてきた. その歴史は比較的古く, 1839年にフランスで水力による空気削岩機が使用されたとの報告がある. 健康障害の報告は1911年イタリアのLorigaが最初とされ, わが国では1938年村越の報告がある. わが国における振動障害の研究は, 1930年代からの臨床事例研究を主とする時代, 1960年代からの疫学的研究と早期診断法を含む予防対策確立の時代, 1980年代からの欧米との研究交流の時代に分けることができる. 振動障害の体系的な予防対策がわが国において先進的に確立されたことは特筆すべきである. その後, 欧米のより実証的な研究との交流からわが国の研究成果が国際的な評価を受ける時代となっている. 物理現象である振動の健康影響を対象とすることから, 工学研究者との密接な協力で研究が展開されてきたことも重要である. 今後, 振動障害の病像, 診断. 治療, 工具. 機械改良, 作業基準. 許容基準などをさらに検討し, 産業職場に実現するために残された研究課題は少なくない. |
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ISSN: | 1341-0725 |