NO.5 緑膿菌のAP-PCR法による遺伝子解析の基礎的検討

[目的] 院内感染対策として, AP-PCRを実施しているが, 今回その方法の条件や再現性などの基礎的検討を行った. [検討項目] 1)DNA抽出の比較検討 2)DNA量のPCRへの影響 3)再現性 4)DNA抽出における同時再現性と回収率 5)PCRにおける同時再現性, 日差再現性 [対象] 当院臨床分離株の緑膿菌を4株と, 緑膿菌の標準菌株(ATCC27853)の1株を対象とした. [方法] PCRの条件はdenaturationを94℃ 1分, annelingを35℃ 1分, extensionを72℃ 1分のサイクルを35回行った. プライマーは272:AGCGGGCCAAを使用した...

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Published in山口医学 Vol. 56; no. 3; p. 92
Main Authors 小林利彦, 水野秀一, 岡山直子, 敷地恭子, 松尾亜矢, 藤井妙子, 中村準二, 日野田裕治
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 30.06.2007
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:[目的] 院内感染対策として, AP-PCRを実施しているが, 今回その方法の条件や再現性などの基礎的検討を行った. [検討項目] 1)DNA抽出の比較検討 2)DNA量のPCRへの影響 3)再現性 4)DNA抽出における同時再現性と回収率 5)PCRにおける同時再現性, 日差再現性 [対象] 当院臨床分離株の緑膿菌を4株と, 緑膿菌の標準菌株(ATCC27853)の1株を対象とした. [方法] PCRの条件はdenaturationを94℃ 1分, annelingを35℃ 1分, extensionを72℃ 1分のサイクルを35回行った. プライマーは272:AGCGGGCCAAを使用した. PCR systems9700(Applied biosystems)で増幅後, 電気泳動, エチジウムブロマイド染色, UV可視化でバンドの確認を行った. [結果] DNA抽出における同時再現性は3法とも良好で, 回収率はNaI法がよかった. PCRにおける同時再現性, 日差再現性は共に良好であった. DNA量のPCRへの影響は濃度が高いと, バンドが安定せず, 再現性が悪かった. 逆に低いとバンドは少なくなり, 薄くなった. 今回抽出した, 3法とも同じPCR結果が得られた. [考察] DNA抽出3法による比較では, 時間は若干かかるが, 回収率, 有機溶媒未使用などの点でNaI法が良いと考えた. PCRにおける再現性が良かったので, 信頼性のある検査であり, Primerを組み合わせることで識別力が向上する. また誰が行っても約6時間程度で結果が出せ, 臨床への対応が迅速にできる方法であると思われた.
ISSN:0513-1731