7. 磁気刺激法のリハビリテーション医学への応用について

磁気が, 骨に被われたり, 深い部位にある神経をも, 痛みを伴わずに刺激できることから, 中枢神経系や末梢神経近位部の刺激方法として注目されている. 磁気刺激の効果を機能測定と機能的改善の両面より検討した. 【方法】磁気刺激装置は高電圧高容量発射機器と刺激コイルより成る. パーキンソン病8名, 脊髄小脳変性症患者11名を対象とし, 正常者を対照とした. 【結果】機能測定としては, 皮質脊髄路の伝導性と脊髄前角よりの末梢神経の伝導性の測定がなされた. パーキンソン病では運動神経中枢伝導時間は正常以内であり, また皮質下行路の遅く伝導する線維にも著変を認めなかった. 末梢神経伝導時間も正常域であっ...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 26; no. 4; p. 245
Main Authors 眞野行生, 生駒一憲, 中室卓也, 高柳哲也
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1989
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:磁気が, 骨に被われたり, 深い部位にある神経をも, 痛みを伴わずに刺激できることから, 中枢神経系や末梢神経近位部の刺激方法として注目されている. 磁気刺激の効果を機能測定と機能的改善の両面より検討した. 【方法】磁気刺激装置は高電圧高容量発射機器と刺激コイルより成る. パーキンソン病8名, 脊髄小脳変性症患者11名を対象とし, 正常者を対照とした. 【結果】機能測定としては, 皮質脊髄路の伝導性と脊髄前角よりの末梢神経の伝導性の測定がなされた. パーキンソン病では運動神経中枢伝導時間は正常以内であり, また皮質下行路の遅く伝導する線維にも著変を認めなかった. 末梢神経伝導時間も正常域であった. 脊髄小脳変性症では2例において運動神経中枢伝導時間は延長していた. また大脳からの運動神経誘発電位はより多相性を示し, 皮質下行路に障害を認めた. すくみ足現象を呈するパーキンソン病の歩行時に大脳への単一磁気刺激を試み, 磁気刺激が運動のtriggerになるかを試みた. 磁気刺激は下肢の筋の相動性筋収縮を誘発したが, 今回の試みでは, すくみ足現象を正常歩行に変換することはできなかった. 脊髄小脳変性症では皮質下行路の刺激が立位時安定性への影響を認める例があり, 特に刺激後3~30分に安定性が認められた. 質問 慶応大 道免和久:脳卒中などに応用する場合けいれんなどの危険性があると思われるがどうですか. , 追加発言 慶応大 千野直一:大変興味深いご研究ですが, functional stimulationという語句が学会員の理解を困難にするおそれがあるので, ご検討いただければと存じます.
ISSN:0034-351X