3. 術後緑膿菌感染症にともない肝不全を併発した1症例
【症例】51歳, 女性. 舌癌に対して遊離皮弁を含む手術を施行し, 術後ICUに入室した. 吻合血管の血流障害のため, 2週間で5回の手術を行った. 手術侵襲や, 創・カテーテル感染でseptic shock, 肝不全に陥り, 大量の腹水で呼吸も障害された. 緑膿菌感染にはPIPC/TAZ投与とエンドトキシン吸着を, 肝不全には血漿交換, CHDFを施行したが, 腹水の減量は図れなかった. 入室55日目の腹水ドレナージを契機に酸素化の改善, 尿量増加が得られ, 76日目にICUを退室した. 【考察・まとめ】腹水ドレナージは, 肝不全では症状の一時的な改善を得るにすぎないが, 本症例ではsept...
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Published in | 山口医学 Vol. 57; no. 4; p. 117 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
山口大学医学会
31.08.2008
Yamaguchi University Medical Association |
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ISSN | 0513-1731 |
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Summary: | 【症例】51歳, 女性. 舌癌に対して遊離皮弁を含む手術を施行し, 術後ICUに入室した. 吻合血管の血流障害のため, 2週間で5回の手術を行った. 手術侵襲や, 創・カテーテル感染でseptic shock, 肝不全に陥り, 大量の腹水で呼吸も障害された. 緑膿菌感染にはPIPC/TAZ投与とエンドトキシン吸着を, 肝不全には血漿交換, CHDFを施行したが, 腹水の減量は図れなかった. 入室55日目の腹水ドレナージを契機に酸素化の改善, 尿量増加が得られ, 76日目にICUを退室した. 【考察・まとめ】腹水ドレナージは, 肝不全では症状の一時的な改善を得るにすぎないが, 本症例ではseptic shock時の大量輸液と肝不全治療後の残存する腹水, 尿量減少, 酸素化障害といった悪循環をたつのに有効であった. 施行適応の検討が必要である. |
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ISSN: | 0513-1731 |