20. 肩関節不安定性に対する肩回旋腱板筋力増強訓練の検討

【目的】肩関節不安定症の保存的治療では主に肩回旋腱板筋力増強訓練が行われている. しかし, その効果について明確に示した報告は少ない, そこで, 不安定肩の筋力をCybex IIを用いて評価し, 不安定肩に対し筋力増強訓練を実施し, その効果を検討した. 【対象および方法】(1)正常肩群として15-17歳女性29名58肩, 不安定肩群として15-17歳女性17名28肩を対象とした. 不安定肩群はいわゆるloose shoulder症例で, 全例下方不安定性を有しており, 16肩に多方向不安定性を認めた. Cybex IIを用いて10RPMにて内旋および外旋最大筋力を下垂位および90°外転位にて...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 25; no. 4; pp. 237 - 238
Main Authors 井手淳二, 山鹿真紀夫, 森沢佳三, 高木克公, 原田正孝
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1988
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:【目的】肩関節不安定症の保存的治療では主に肩回旋腱板筋力増強訓練が行われている. しかし, その効果について明確に示した報告は少ない, そこで, 不安定肩の筋力をCybex IIを用いて評価し, 不安定肩に対し筋力増強訓練を実施し, その効果を検討した. 【対象および方法】(1)正常肩群として15-17歳女性29名58肩, 不安定肩群として15-17歳女性17名28肩を対象とした. 不安定肩群はいわゆるloose shoulder症例で, 全例下方不安定性を有しており, 16肩に多方向不安定性を認めた. Cybex IIを用いて10RPMにて内旋および外旋最大筋力を下垂位および90°外転位にて測定した. (2)不安定肩群11名19肩(男性3名, 女性8名, 平均年齢18.2歳, 多方向不安定性10肩)に筋力増強訓練を実施した. 訓練前後で内旋 外旋最大筋力および臨床症状 所見を評価した. 【結果】(1)内旋 外旋最大筋力ともに下垂位, 90°外転位にて正常肩群と不安定肩群の間に有意差を認めなかった. (2)訓練前の評価にてADL上支障のあった12肩を検討した結果, 筋力増強訓練は75%に有効であった. また, 内旋 外旋最大筋力が20%以上増加したものが50%であり, この83.3%に著効を示した. 【結論】いわゆるloose shoulder症例の肩関節内 外旋筋力は正常肩群と比較して低下してはいなかった. 肩回旋腱板を中心とした肩関節周囲筋群の強化は, 肩関節不安定性による臨床症状 所見の改善に有効である. 質問 西日本リハビリテーション学院 高浜照:動揺性肩関節症の症状には運動痛だけでなく, 安静時痛や軽微運動, 例えば歩行時に両手を振る程度でダルくて痛いと訴える患者も多い. そのような脱力時における症状は軽快したのかどうか. また, 軽快するとすれば, 筋力の増強とどういう関係があるのか. 答 井手淳二:今回検討した症例には安静時痛などの症状を呈する症例はなかった. これは対象がII型以下の比較的軽度の症例が主体であったためと考える. 質問 岩谷力(座長):改善がみられた症状は, どのような症状であったか. 答 井手淳二:今回症状が改善したのは動作時痛, しびれ感, 不安定感などであった. なお, 持久力などについては今回は検討していない.
ISSN:0034-351X