3. 中規模病院での家庭用食器洗浄乾燥機を用いた一次処理の試み

当院は436床の公的総合病院である. これまで現場で施行していた使用後物品の消毒液による一次処理に変わるものとして, 山口大学の尾家らの, 「ウォッシャディスインフェクターの設置や購入が無理な医療機関では……安価な家庭用食器洗浄機の利用が勧められる. 」という報告をもとに, 1年半前より家庭用食器洗浄乾燥機(以下食器洗浄機とする)をほぼ全部署に導入し物品の一次処理に使用している. その経過について報告する. 【方法結果】導入にあたっては感染管理委員会で検討. 一箇所の病棟で試験導入を行った上でマニュアル作成. 洗浄度の評価, 細菌学的検査, 温度確認をした後, 必要箇所全部署に食器洗浄機を設置...

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Published in山口医学 Vol. 54; no. 5; p. 150
Main Authors 大久保典子, 田中和子, 谷本清子, 田中久枝, 藤本ミチ子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 31.10.2005
Yamaguchi University Medical Association
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ISSN0513-1731

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Summary:当院は436床の公的総合病院である. これまで現場で施行していた使用後物品の消毒液による一次処理に変わるものとして, 山口大学の尾家らの, 「ウォッシャディスインフェクターの設置や購入が無理な医療機関では……安価な家庭用食器洗浄機の利用が勧められる. 」という報告をもとに, 1年半前より家庭用食器洗浄乾燥機(以下食器洗浄機とする)をほぼ全部署に導入し物品の一次処理に使用している. その経過について報告する. 【方法結果】導入にあたっては感染管理委員会で検討. 一箇所の病棟で試験導入を行った上でマニュアル作成. 洗浄度の評価, 細菌学的検査, 温度確認をした後, 必要箇所全部署に食器洗浄機を設置した. 洗浄度評価としてのTOSIスコアは, 概ね1~2であった. 温度評価は, 4機で実施した. 洗浄では給湯温度は60℃で, 77~79℃が1~4分間, 乾燥では60℃が30分間を保持. 細菌学的評価では, MRSAやグラム陰性桿菌は除菌, 芽胞菌は洗浄後も残留, やや拡散する傾向, その他の細菌としてコリネバクテリウムとコアグラーゼ陰性ブドウ球菌が1コロニーずつ検出された例があった. この結果, 滅菌を必要とする物品を中央材料室に搬送する手段として蓋付きBOXを使用する事で, 感染対策の目的は達成できると考えた. また, 低レベル消毒でよい物品についてはそのまま現場で使用する等使用対象物品の検討, 洗浄コースの見直し, 使用マニュアルの改訂等を行った. 1年経過後の現場からの意見を次にまとめる. 利点として, (1)消毒液の作成, 浸漬, 洗浄の手間がはぶけた. (2)運転時の音が静か. (3)まとめて処理出来, きれいになった. 欠点として, (1)入れ方が難しく収めにくい. (2)洗浄する物品の大きさに限度がある. (3)物品によっては変色した. (4)熱に耐えられない物品がある. また, 感染管理委員会のラウンドで並べ方等の問題点もわかり, 再度マニュアルの変更徹底を行っている. 【まとめ】食器洗浄機は中規模病院でも一次処理法として充分に活用可能である. 音も静かな上に安全で使いやすく経済的であるが, 洗浄の効果を得る為には, マニュアルをよく理解し運用しなければならない.
ISSN:0513-1731