Rh式---型とregulator typeのRhnull型の分子遺伝学的解析

1939年Levinらによって発見されたRh血液型の分子レベルの研究は, 1980年代以降急速に発展した. 82年Mooreらは, Rh主要5抗原(C,c,E,e)がRhポリペプチドに担われていることを報告した1). さらにMooreらは87年に, 抗Rhc抗体, 抗RhE抗体, 抗RhD抗体と結合する赤血球膜タンパク(Rhimmune complex)中に, Rhポリペプチドとは異なる糖タンパク質(Rh50糖タンパク)を検出した2). 従来, Rh抗原の発現には, RhポリペプチドとともにRh複合体を形成するco-moleculeの存在が必要と考えられてきたが, この発見は, その仮説を証明...

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Published in日本輸血学会雑誌 Vol. 45; no. 6; pp. 826 - 827
Main Authors 山崎昌子, 奥田浩, 河野正樹, 近江俊徳, 岩本禎彦, 梶井英治, 福田さと子, 長谷川倫子, 石森崇平, 支倉逸人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本輸血学会 01.12.1999
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ISSN0546-1448

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Summary:1939年Levinらによって発見されたRh血液型の分子レベルの研究は, 1980年代以降急速に発展した. 82年Mooreらは, Rh主要5抗原(C,c,E,e)がRhポリペプチドに担われていることを報告した1). さらにMooreらは87年に, 抗Rhc抗体, 抗RhE抗体, 抗RhD抗体と結合する赤血球膜タンパク(Rhimmune complex)中に, Rhポリペプチドとは異なる糖タンパク質(Rh50糖タンパク)を検出した2). 従来, Rh抗原の発現には, RhポリペプチドとともにRh複合体を形成するco-moleculeの存在が必要と考えられてきたが, この発見は, その仮説を証明することとなった. 90年代初頭には, 国内外のグループによりRhポリペプチドをコードする複数のcDNAがクローニングされた3)~5). これらのcDNAに関する種々の解析より, Rh血液型は, RhDポリペプチドをコードするRHD遺伝子と, RhCEポリペプチドをコードするRHCE遺伝子の2遺伝子からなることが判明した. なお, 発現実験により, C/c抗原とE/e抗原は, 同一のポリペプチド上に存在することは確認されている. D,CEポリペプチドは, いずれも12個の膜貫通ドメインを有するIV型膜タンパクと推測された. Rh50糖タンパク質のcDNAも92年にRigwellらによってクローニングされた. そしてRh50糖タンパク質は, Rhポリペプチドと同様に12個の膜貫通ドメインを有するIV型膜タンパクであり, 分子内に3カ所のN-glycan付加部位が存在することも示された9).
ISSN:0546-1448