4. 心筋梗塞患者の日常労作, ならびに自己管理型運動療法について-Holter DCGによる検討

心筋梗塞患者の入院中と退院後早期の日常労作, ならびに自己管理型運動療法について, 運動負荷試験とHolter DCG(以下ホルター)により検討した. 対象は急性心筋梗塞で入院した31例で平均年齢は54.8歳. 方法は入院中, 退院時, 更に退院後平均2か月(以下退院後早期)にホルターと運動負荷試験を施行した. 退院後早期の自己管理型運動療法については, 全例に歩行を主体としたリハビリテーション(以下リハ)を指示したが, 自己管理群(14例)では退院後のリハ歩行の際, 脈拍が100-110/分となるように指導し, また1日の歩数を記録させた. 非管理群(17例)は脈拍計と万歩計は使用せずリハを...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 25; no. 4; p. 259
Main Authors 斎藤朗, 碇元美, 長山雅俊, 薄元茂, 井上幸一, 桑原敏樹, 長谷川武志, 藤田良範, 新谷博一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.07.1988
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:心筋梗塞患者の入院中と退院後早期の日常労作, ならびに自己管理型運動療法について, 運動負荷試験とHolter DCG(以下ホルター)により検討した. 対象は急性心筋梗塞で入院した31例で平均年齢は54.8歳. 方法は入院中, 退院時, 更に退院後平均2か月(以下退院後早期)にホルターと運動負荷試験を施行した. 退院後早期の自己管理型運動療法については, 全例に歩行を主体としたリハビリテーション(以下リハ)を指示したが, 自己管理群(14例)では退院後のリハ歩行の際, 脈拍が100-110/分となるように指導し, また1日の歩数を記録させた. 非管理群(17例)は脈拍計と万歩計は使用せずリハを行った. 【結果】24時間中の最大心拍数は入院中と退院時では110/分と同じであるが, 退院後早期には124/分に増加した. 入院中の歩行や階段昇降時の心拍数は95/分程度であったが, 退院後のリハ歩行では109/分と有意に増加した. 24時間中の最大心拍数を呈した労作は, 入院中と退院時では約半数の症例が食事, 排泄, 洗面などの日常的な軽労作であった. 退院後はほとんどの例がリハ歩行であった. 自己管理型運動療法では, 管理群の1日の歩数の平均は5,838歩で, リハ歩行中の脈拍数は105/分であり, ホルターでの心拍数とほぼ一致した. リハ歩行中の最大心拍数では両群間に有意差はなかった. 運動負荷試験での運動耐容量は両群とも経過と共に有意に改善したが, 両群間に有意差はなかった. 質問 国立塩原温泉病院 田村武司:運動負荷時にHolter ECGを記録する際, 基線の動揺, EMG混入などのために, 心拍数を正しく測定することが出来ない場合があると思いますが, これに対して何か工夫はされていますか. 答 斎藤朗:Holterの解析および心拍数の測定は, 圧縮心電図ではなく, 25mm/secの実際の心電図に記録し測定しており, 筋電図等のノイズによる測定誤差はほとんどありません. 質問 藤田学園保健衛生大 勅使河原敬明:退院時リハビリの歩行は, 1-2METs程度の運動であり, 退院後の管理群と非管理群の比較に3-7METsと強い負荷をかけているが, 意味がないのではないか. 答 斎藤朗:以前我々が検討したところでは, 入院中の200m歩行は約2-3METsであり, 運動量は小さかったが, 若年で合併症のない例ではその後の500m歩行や階段昇降の際の運動強度を高めるようにしています. しかし, 非監視下でのリハであり, 当教室では運動強度は運動負荷試験での最大心拍数の70-80%を目標にしています.
ISSN:0034-351X