Treponema denticodaのトリプシン様酵素活性について

【目的】口腔スピロヘータは種々のタンパク分解酵素を産生し, 歯周組織破壊に深く関わっていると考えられる. しかし分解酵素の一つであるトリプシン活性についての詳細な報告は少なく, 歯周病との関連性は十分に解明されていない. そこでTreponema denticolaの産生するトリプシン様酵素を, 分取用電気泳動装置を用いて部分精製し, その酵素化学的性質について検討した. 【方法】Treponema denticola ATCC35405株を嫌気培養後, 遠心洗浄した. 集菌した菌体は, Nonidet P-40を0.1%含む20mM Tris-HCl buffer pH7.5にて懸濁, 振盪...

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Published in歯科基礎医学会雑誌 Vol. 43; no. 5; p. 602
Main Authors 菊池邦好, 田中一, 林邦雄
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 歯科基礎医学会 20.08.2001
Japanese Association for Oral Biology
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ISSN0385-0137

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Summary:【目的】口腔スピロヘータは種々のタンパク分解酵素を産生し, 歯周組織破壊に深く関わっていると考えられる. しかし分解酵素の一つであるトリプシン活性についての詳細な報告は少なく, 歯周病との関連性は十分に解明されていない. そこでTreponema denticolaの産生するトリプシン様酵素を, 分取用電気泳動装置を用いて部分精製し, その酵素化学的性質について検討した. 【方法】Treponema denticola ATCC35405株を嫌気培養後, 遠心洗浄した. 集菌した菌体は, Nonidet P-40を0.1%含む20mM Tris-HCl buffer pH7.5にて懸濁, 振盪により菌体表層タンパクを抽出し, その遠心上清を粗抽出試料とした. 試料はプレップセルにより泳動し, 分離溶出したタンパクを溶出画分として回収した. 画分中のタンパクはSDS-PAGEにより確認し, 酵素活性は合成基質であるBAPNAの加水分解能による吸光度の変化を測定し酵素活性とした. また酵素活性のあるタンパクバンドは, native-PAGEを用いてBANAの加水分解による発色により判定した. 【結果】6% native-PAGEを用いた分取用電気泳動装置によりトリプシン様酵素の部分精製法を確立した. 酵素タンパクの分子量はSDS-PAGEでは約70KDaであった. 本酵素はSDSによる阻害が顕著で, 部分精製時から酵素活性に大きな影響を及ぼすことが明らかになった. 酵素活性は, トリプシン阻害剤であるTLCKにより完全に阻害されたが, PMSFによる阻害はあまり認められなかった.
ISSN:0385-0137