2.下唇癌の治療経験-審美的,機能的検討を含めて

口唇が腫瘍や外傷によって欠損した場合, 審美的のみならず咀嚼発音等の機能的障害も生じる. 今回, 我々は下唇の扁平上皮癌症例に対し形成手術を加味して手術を行い, 審美的機能的に十分満足な結果が得られたので, その概要を報告する. 患者:71歳, 男性. 初診:平成15年1月14日. 臨床診断:右側下唇癌(T1N0M0). 高分化型扁平上皮癌. 処置および経過:平成15年1月24日全麻下にて腫瘍切除ならびに局所皮弁による口唇即時再建術を施行した. 原発巣は辺縁より約10mmの安全域をとって切除したところ, 切除幅は右頬部を含め4cmに及んだため, 右上唇よりの有茎皮弁を回転させて下唇を再建した....

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 3; p. 279
Main Authors 笹岡邦典, 茂木健司, 山口徹, 星野慶子, 中曽根良樹, 狩野証夫, 根岸明秀
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.08.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:口唇が腫瘍や外傷によって欠損した場合, 審美的のみならず咀嚼発音等の機能的障害も生じる. 今回, 我々は下唇の扁平上皮癌症例に対し形成手術を加味して手術を行い, 審美的機能的に十分満足な結果が得られたので, その概要を報告する. 患者:71歳, 男性. 初診:平成15年1月14日. 臨床診断:右側下唇癌(T1N0M0). 高分化型扁平上皮癌. 処置および経過:平成15年1月24日全麻下にて腫瘍切除ならびに局所皮弁による口唇即時再建術を施行した. 原発巣は辺縁より約10mmの安全域をとって切除したところ, 切除幅は右頬部を含め4cmに及んだため, 右上唇よりの有茎皮弁を回転させて下唇を再建した. 術後, 口唇の左右非対称と小口症を認め, 右口角の狭小化により摂食障害が認められたため, 初回手術3週間後に全麻下にて右口裂拡張, 右口角形成術を施行した. その後, 口裂はほぼ正常となり, 左右非対称性は消失し, 審美的ならびに運動機能の十分な回復が得られた. また, 当教室で開発した口唇圧測定装置による評価においても, 口唇機能の客観的回復が認められた. その後, 腫瘍の再発はなく, 現在, 経過良好である.
ISSN:1343-2826