カテプシンK欠損マウスにおける歯の萌出および破骨細胞中のリソソーム性酵素
カテプシンK(CK)は破骨細胞中に最も多量に存在するリソソーム性システインプロテアーゼであり, ヒトでの欠損は破骨細胞の骨吸収能低下による重度の骨代謝障害引き起こす(pycnodysostosis). ところが, ドイツのK. von Figuraらの研究室で作成されたCK欠損マウス(CK-/-)の骨障害の程度は, 予想以上に軽度であった(P. Saftig et al. 1998). それでは, CK-/-では他のリソソーム性プロテアーゼが代償的に増加し, 代役をなしているのであろうか. これを検証する目的で, 我々は, 破骨細胞活性のin vivoでの指標の一つでもある歯の萌出の障害の程度...
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Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 458 |
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Main Authors | , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
歯科基礎医学会
20.08.1999
Japanese Association for Oral Biology |
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ISSN | 0385-0137 |
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Summary: | カテプシンK(CK)は破骨細胞中に最も多量に存在するリソソーム性システインプロテアーゼであり, ヒトでの欠損は破骨細胞の骨吸収能低下による重度の骨代謝障害引き起こす(pycnodysostosis). ところが, ドイツのK. von Figuraらの研究室で作成されたCK欠損マウス(CK-/-)の骨障害の程度は, 予想以上に軽度であった(P. Saftig et al. 1998). それでは, CK-/-では他のリソソーム性プロテアーゼが代償的に増加し, 代役をなしているのであろうか. これを検証する目的で, 我々は, 破骨細胞活性のin vivoでの指標の一つでもある歯の萌出の障害の程度を観察し, 破骨細胞中の各種リソソーム性酵素の免疫組織学的局在を, CK-/-と野生型マウス(CK+/+)を比較しながら検討した. 【方法】生後5, 7, 12日および4週のCK-/-およびCK+/+の頭部のパラフィン矢状断切片を作製し, 次のリソソーム性酵素に対する抗体を用いて免疫染色を行った. CK, カテプシンB, カテブシンL, カテプシンD, 酒石酸耐性酸性フォスファターゼ. 【結果と考察】CK-/-およびCK+/+の間で, 歯の萌出状態, 歯根の形成, 歯槽骨表面の破骨細胞数, に関しても大きな差は認められなかった. また, 検討を行ったどのリソソーム性酵素の染色性にも著明な差は認められなかった. それらは代償性に増加してはいないと考えられた. (本研究は, ゲッチンゲン大(ドイツ)のK. von Figura博士, P. Safting博士との共同研究で行われた) |
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ISSN: | 0385-0137 |