23.ラジオ波後4ヶ月で肝門部リンパ節転移をきたした肝細胞癌の1例
【症例】80歳女. 【現病歴】肝癌ラジオ波治療後経過観察中の腹部CTで肝門部にSOLを認めた. 【治療歴】H15年3月C型肝炎で経過観察中, 腹部CTで肝右葉にSOLを認め精査目的で当院紹介入院. 入院時AFP20ng/ml, PIVKA-217mAU/ml. AG施行し肝右葉HCCと診断. TAI施行後, 経皮的RFA施行. RFA時の腫瘍生検の病理組織診断は中分化肝癌. 他に病変認めず, 5月14日退院し外来で経過観察中であった. 9月18日腹部CTで肝S1再発もしくは肝門部リンパ節転移を疑わせる腫瘤を認めた. 腹部AG施行時, 腹腔動脈造影で腫瘤陰影を認めるが左右の肝動脈造影では陰影は認...
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          | Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 4; p. 359 | 
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| Main Authors | , , , , , , | 
| Format | Journal Article | 
| Language | Japanese | 
| Published | 
            北関東医学会
    
        01.11.2004
     Kitakanto Medical Society  | 
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| ISSN | 1343-2826 | 
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| Summary: | 【症例】80歳女. 【現病歴】肝癌ラジオ波治療後経過観察中の腹部CTで肝門部にSOLを認めた. 【治療歴】H15年3月C型肝炎で経過観察中, 腹部CTで肝右葉にSOLを認め精査目的で当院紹介入院. 入院時AFP20ng/ml, PIVKA-217mAU/ml. AG施行し肝右葉HCCと診断. TAI施行後, 経皮的RFA施行. RFA時の腫瘍生検の病理組織診断は中分化肝癌. 他に病変認めず, 5月14日退院し外来で経過観察中であった. 9月18日腹部CTで肝S1再発もしくは肝門部リンパ節転移を疑わせる腫瘤を認めた. 腹部AG施行時, 腹腔動脈造影で腫瘤陰影を認めるが左右の肝動脈造影では陰影は認めなかった. 以上より肝外に存在する直径36.6×32mmの腫瘤で肝門部リンパ節転移と診断した. 高齢のため手術適応なしと判断し放射線治療を計48Gry/24回施行した. 照射治療後の腹部CTで肝門部リンパ節は16.6×11mmと著明に縮小した. 副作用として, 食欲不振, 白血球減少, 口唇ヘルペスを認めた. 白血球減少は一時期WBC1700/μlまで低下したがGCSFを5日間使用, また口唇ヘルペスに対してアラセナ軟膏塗布行い改善した. 【考察】肝細胞癌の再発部位は肝が最も多く85%以上である. 一方肝外再発は肺(5%)骨(4%)リンパ節(約2%)で稀である. これは胆管細胞癌の14%に比して非常に少ない. リンパ節転移の治療法には, 手術化学療法放射線が行われるが, chemosensitivityが低い放射線療法でサイズは縮小するが根治ではない等の理由で, リンパ節転移単独であれば手術を行うことが多い. しかし, 本症例のように手術適応外の場合は, TAIや放射線治療が選択される. 本症例の血管造影では肝門部リンパ節の栄養血管が描出されず, TAIは不可能と判断し放射線治療を行った. 照射量は45~50Gyが標準的である. リンパ節転移に対する放射線治療の奏功率に関する報告は見られなかったが, 肝癌にたいする体外照射で70%, 腫瘍塞栓に対して64%との報告が見られる. 本症例の縮小率は15.6%で著効を示したといえる. 【まとめ】RFA治療4ヶ月後で肝門部リンパ節に転移を認めた症例を経験した. リンパ節転移に対し放射線治療を行い著効を示した. | 
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| ISSN: | 1343-2826 |