10.胃静脈瘤に対するDBOE(Dual Balloon Occluded Embolotherapy)の検討

【目的】バルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)や経皮経肝門脈塞栓術(PTO)で難渋する難治性胃静脈瘤に対し施行した同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)の有用性と安全性について検討したので報告する. 【対象】1995年から2002年までに当院にて治療した胃静脈瘤87例中, B-RTOやPTO単独療法では治療困難であり, DBOEを施行した10例について検討した. 男女比は6:4, 年齢は39~79歳(平均61.5歳)であった. 原疾患は全例肝硬変で, アルコール性4例, C型4例, B型1例, 非B非C1例であった, child分類はA7例, B2例, C1例であった. 胃静脈瘤の部...

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Published inTHE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 1; p. 50
Main Authors 新井弘隆, 土田浩之, 中野貴子, 中橋寛隆, 豊田満夫, 長島真美子, 長沼篤, 饗場正明, 小野里康博, 石原弘, 阿部毅彦
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 北関東医学会 01.02.2004
Kitakanto Medical Society
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ISSN1343-2826

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Summary:【目的】バルーン閉鎖下逆行性経静脈的塞栓術(B-RTO)や経皮経肝門脈塞栓術(PTO)で難渋する難治性胃静脈瘤に対し施行した同時性バルーン閉鎖下塞栓術(DBOE)の有用性と安全性について検討したので報告する. 【対象】1995年から2002年までに当院にて治療した胃静脈瘤87例中, B-RTOやPTO単独療法では治療困難であり, DBOEを施行した10例について検討した. 男女比は6:4, 年齢は39~79歳(平均61.5歳)であった. 原疾患は全例肝硬変で, アルコール性4例, C型4例, B型1例, 非B非C1例であった, child分類はA7例, B2例, C1例であった. 胃静脈瘤の部位はLg-cf2例, Lg-f8例であり, 形態はF1 1例, F2 6例, F3 3例であった. また予防例が6例, 待機例か4例であった. BRTOおよびPTO単独療法の施行不能理由は, 複数の側副血行路が存在した症例が8例, 胃静脈瘤の描出前に供血路が描出されてしまった例か2例であった. 【方法】DBOE:供血路と排血路の双方をバルーンで閉鎖し血流を遮断した上で5%Ethanolamine oleate with iopamidol(EOI)を注入, 1時間停滞させた後硬化剤を回収し終了した. 検討項目:DBOEの成否, CTと内視鏡による胃静脈瘤の消失の確認, 再発の有無, 食道静脈瘤への影響, 副作用について検討した. 【成績】手技的には全例成功し, 観察期間は平均540.8日(131~771日)であった. 胃静脈瘤の完全消失率は80%で, 縮小残存か20%であり, 消失例は全例再発を認めていない. 食道静脈瘤の出現悪化は5例でみられたが全例内視鏡的治療でコントロール可能であった. 合併症は発熱腹痛嘔気血尿等で重篤なものはみられなかった. 死亡例は1例で治療後1年7ヶ月で肝腎不全で死亡した. 【結論】DBOEは術後の食道静脈瘤の悪化に留意する必要があるものの, B-RTOやPTO単独療法では治療困難な胃静脈瘤に対して有効で安全な治療法であると考えられた.
ISSN:1343-2826