理学療法部門におけるISO9001導入後の変化

はじめに;当院では2000年3月, ISO9001の認証を取得した. ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)とは, 品質保証の国際規格であり, 顧客(患者, 家族)の満足をはかるために必要な, 病院の医療品質保証体制(マネジメントシステム)に対する規格をいう. 導入以降, この仕組みを統合的に活用し病院のQuality Management System(QMS)強化を推進してきた. そこで, 導入後の部門への影響や効果について言及する. 対象;1)2000年度及び2002年度も在籍中の理学療法士23名(2002年...

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Published in理学療法学 Vol. 30; no. suppl-2; p. 412
Main Authors 渡辺京子, 伊能幸雄, 新井和博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本理学療法士協会 20.04.2003
公益社団法人日本理学療法士協会
Japanese Physical Therapy Association (JPTA)
Subjects
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ISSN0289-3770

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Summary:はじめに;当院では2000年3月, ISO9001の認証を取得した. ISO(International Organization for Standardization:国際標準化機構)とは, 品質保証の国際規格であり, 顧客(患者, 家族)の満足をはかるために必要な, 病院の医療品質保証体制(マネジメントシステム)に対する規格をいう. 導入以降, この仕組みを統合的に活用し病院のQuality Management System(QMS)強化を推進してきた. そこで, 導入後の部門への影響や効果について言及する. 対象;1)2000年度及び2002年度も在籍中の理学療法士23名(2002年度平均年齢30.6±6.7才). 男性15名(30.5±5.1才), 女性8名(30.8±9.4才). 2)従来の部門業務分掌文書とISO9001関連文書. 方法;1)ISO9001運用開始以前に職員がたてた目標の内容と2002年度を比較した. 2)従来の業務分掌文書とISO9001導入後の文書体系を比較した. 結果;1)ISO9001導入前, 各職員は個人的な興味の分野や, 不足している点を目標として個々にたてており内容もバラバラであった. 導入後は病院の品質目標を達成するために, 個人の目標を密接に関連づけて体系的目標がたてられるようになった. 2)病院が定めた品質保証マニュアルの一次文書を基に, 二次文書であるリハビリテーション(以下リハ)診療管理規定, 及び三次文書であるリハ診療マニュアルの作成. 定期的な内部監査と外部審査による継続的改善. 年度ごとの部門目標と実績報告. カンファレンス, 職員教育実施文書作成と保管など, 部門に必要な文書体系システムが構築された. 考察;ISO9001品質マネジメントシステムは, 以下の内容が含まれている. 1)文書および記録管理の整備 2)病院トップによる品質目標の提示, 職員参画の促進 3)資源の運用管理(職員教育有効性の評価) 4)医療サービスの提供(患者識別, 理学療法治療効果判定, 患者とのコミュニケーション) 5)苦情やリスクマネジメントヘの対応 6)不適合の管理 今回, 特に(1)文書および記録管理の整備, (2)職員教育システムの構築, (3)病院のトップによる品質目標の提示により職員参画に影響することが示唆された. まとめ;ISO9001は認証取得が目的ではなく, これを活用することで顧客満足をはかり, さらに医療の質の保証と向上をはかることである. 基本的な規格の要求事項にそって, 品質マニュアルを作り院内の標準化, 統合, 整合性をはかり, さらに理学療法部門の管理運営教育のツール(道具)として活用できる.
ISSN:0289-3770