ヒト頭蓋骨鱗状および頭頂乳突縫合の形態計測学的研究‐形態学的特徴と加齢変化について
ヒト頭蓋骨鱗状および頭頂乳突縫合は側頭骨と頭頂骨を結合する縫合で, 外面は側頭筋に被われ, 機能的, 加齢的変化の反映が予測されるので, 同部を形態計測学的に検討した. [材料および方法]材料:日本人(明治時代)の乾燥頭蓋骨36例(男性17例, 女性19例, 年齢5~90歳:東北大, 医, 解剖第一所有)を用いた. 方法:鱗状および頭頂乳突縫合の内面, 外面の形態観察と縫合線の長さ(cm)を計測し, 個体間および年齢群(I:5-11歳, II:15-25歳, III:40-59歳, VI:73-90歳)間で比較した. [結果]1. 縫合線の形態的特徴は, (1)鱗状縫合では, 内面に比べ外面が...
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| Published in | 歯科基礎医学会雑誌 Vol. 41; no. 5; p. 468 |
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| Main Authors | , , , |
| Format | Journal Article |
| Language | Japanese |
| Published |
歯科基礎医学会
20.08.1999
Japanese Association for Oral Biology |
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| ISSN | 0385-0137 |
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| Summary: | ヒト頭蓋骨鱗状および頭頂乳突縫合は側頭骨と頭頂骨を結合する縫合で, 外面は側頭筋に被われ, 機能的, 加齢的変化の反映が予測されるので, 同部を形態計測学的に検討した. [材料および方法]材料:日本人(明治時代)の乾燥頭蓋骨36例(男性17例, 女性19例, 年齢5~90歳:東北大, 医, 解剖第一所有)を用いた. 方法:鱗状および頭頂乳突縫合の内面, 外面の形態観察と縫合線の長さ(cm)を計測し, 個体間および年齢群(I:5-11歳, II:15-25歳, III:40-59歳, VI:73-90歳)間で比較した. [結果]1. 縫合線の形態的特徴は, (1)鱗状縫合では, 内面に比べ外面が, また外面では前部に比べ後部が複雑な屈曲を呈していた. 平均の長さは外面(107.6cm〕が内面(69.7cm)より有意に(p<0.001)長かった. (2)頭頂乳突縫合では, 内面(32.3cm), 外面(33.3cm)とも複雑な屈曲を呈し, 長さに有意差はみられなかった. 2. 縫合線の長さの加齢変化は, (1)鱗状縫合では, 加齢に伴い, 外面では有意に(I-III間, II-III間:p<0.01)増加し, 内面では有意な変化はみられなかった. (2)頭頂乳突縫合では, 内面, 外面とも加齢に伴う有意な変化はみられなかった. (3)全年齢群で左右に有意差はみられなかった. [考察]ヒト頭蓋骨の, (1)鱗状縫合の外面は, 大きな外力の適応として鱗状を示し, 骨結合部の接触面積が増大し, 加齢に伴い縫合線の長さが増加する, (2)鱗状縫合内面や頭頂乳突縫合に働く外力は, 鱗状縫合外面に比べて小さい, と思われた. |
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| ISSN: | 0385-0137 |