4. 脳性運動障害児の早期治療―小児専門病院の立場から

昭和56年中に脳性運動障害に関連して当科を受診した0歳児79例のうち, 死亡などを除く76例につき以下の検討を行なった. 受診経路は院内他科から併診されたものが60例(78.9%)を占め, そのほとんどが新生児科と神経内科からであった. 初診時に原始反射, 姿勢反射, 筋緊張, 運動発達などをもとに, A. 異常なし(11例), B. 発達遅滞(14例), C. 四肢筋緊張亢進(4例), D. 脳性運動障害の疑い(16例), E. 脳性運動障害((23例), F. 脳性麻痺(8例)の6段階にふり分けた. また取扱い区分として, FとEの一部を要治療(理学療法士による訓練を行なう), Eの残りと...

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Published inリハビリテーション医学 Vol. 20; no. 6; pp. 381 - 382
Main Author 陣内一保
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本リハビリテーション医学会 18.11.1983
社団法人日本リハビリテーション医学会
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
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ISSN0034-351X

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Summary:昭和56年中に脳性運動障害に関連して当科を受診した0歳児79例のうち, 死亡などを除く76例につき以下の検討を行なった. 受診経路は院内他科から併診されたものが60例(78.9%)を占め, そのほとんどが新生児科と神経内科からであった. 初診時に原始反射, 姿勢反射, 筋緊張, 運動発達などをもとに, A. 異常なし(11例), B. 発達遅滞(14例), C. 四肢筋緊張亢進(4例), D. 脳性運動障害の疑い(16例), E. 脳性運動障害((23例), F. 脳性麻痺(8例)の6段階にふり分けた. また取扱い区分として, FとEの一部を要治療(理学療法士による訓練を行なう), Eの残りとC, D, Bの一部を要指導(医師が母親に対して扱い方を指導する), Bの残りを要観察(再診の上観察する)とした. Aは再診不要でよいが両親の不安の強いものは要観察とした. その結果, 歩行の完成したものを正常化とすると, 危険因子を有する群では50例中12例, 有しない群では26例中7例が正常化せず, 両群の非正常化率はほぼ等しいが残存障害の程度は危険因子を有する群の方が明らかに重度であった. 両群を通じて, 脳性運動障害またはその疑いとされた乳児でも, 適切な処遇によりおよそ3/4は正常化に至っていた. 近年増加しつつある小児専門病院が, 新生児科.神経内科.リハビリテーション科の協力のもとに, 脳性運動障害児の早期治療の場として活用されるべきである. 質問 石川整肢学園 辻 成人: 先生は「正常化」という言葉をお使いですが, 「独立歩行の完成化したもの」というのは, どの程度の歩行パターンを言うのですか. 答 陣内 一保: 歩容は多少悪くても実用歩行の域に達したものを正常化と呼んでいる. 質問 筑波大 高橋 純: 正常化という語は, 教育関係では普通児と一緒に一般校で教育を行ないうることを指しているようです. Vojta先生はどういう意味で用いておられるか, 御存知の方はお教え下さい. 答 ひかり整肢学園 寺沢 幸一: Vojtaは正常化というのはもっと厳密に正常と言っているように思われる.
ISSN:0034-351X