下顎頭の剖検所見と3次元画像との比較検討

目的:ヘリカルCTで収得したボリュームデータによる3次元画像表示は全体像の立体的把握や位置関係の把握などの目的で臨床に利用されている. しかし, 一方では臨床応用に対する懐疑と技術的限界についての議論もある. そこで今回, 私たちは剖検で得られた下顎頭を用いて, surface rendering法とvolume rendering法で得られた画像所見と剖検所見とを対応させて臨床利用の可否と画像表示の限界や可能性について検討を行ったので報告する. 対象と方法:対象は剖検で得られた左右下顎頭12対(24関節)をゼラチン内に包埋してCT撮像を行った. CT撮像装置は東芝社製Xvigor Realを...

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Published in歯科放射線 Vol. 40; no. suppl; p. 40
Main Authors 小林富貴子, 伊藤寿介, 林孝文, 檜木あゆみ
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本歯科放射線学会 01.10.2000
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ISSN0389-9705

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Summary:目的:ヘリカルCTで収得したボリュームデータによる3次元画像表示は全体像の立体的把握や位置関係の把握などの目的で臨床に利用されている. しかし, 一方では臨床応用に対する懐疑と技術的限界についての議論もある. そこで今回, 私たちは剖検で得られた下顎頭を用いて, surface rendering法とvolume rendering法で得られた画像所見と剖検所見とを対応させて臨床利用の可否と画像表示の限界や可能性について検討を行ったので報告する. 対象と方法:対象は剖検で得られた左右下顎頭12対(24関節)をゼラチン内に包埋してCT撮像を行った. CT撮像装置は東芝社製Xvigor Realを使用した. X線ビーム幅1mm, テーブル移動速度1mm/秒でhelical scanを行った. surface rendering法は東芝社製ワークステーションのXtensionで作成し, volume rendering法(レイトレーシング法)はケイ・ジー・ティー社製Medical Viewer INTAGE2.14を使用して3次元画像を作成した. 下顎頭は11の領域に分けて観察した. そして, 肉眼所見と3次元画像所見とを対比させて検討した. 結果:表面形態の概容把握に限れば, surface rendering法とvolume rendering法で明らかな差は認められなかった. しかし, surface rendering法ではしきい値により2値化され, 皮質骨の断裂として表示された部分が多かった. volume rendering法では内部の濃度情報が損なわれないために不透明度を調整することにより, 下顎頭に癒着していた顎関節円板も明瞭に描出され, 肉眼所見と矛盾しない画像所見を得ることができた. 結論:volume rendering法を用いた3次元画像表示は臨床応用に適しており, volume rendering法で作成したすべての下顎頭の3次元画像は, 限りなく肉眼所見に近似していた.
ISSN:0389-9705