P29. シクロデキストリンがマウス線維芽細胞の増殖に与える影響
[緒言]我々はこれまで, 澱粉が分解されマルトースに至る中間段階生成物の総称であるデキストリンに着目し研究を行ってきた. その結果, in vitroで細胞を培養する際に, 低濃度のデキストリンを培養液に添加すると, 細胞に顕著な増殖活性を与えることが分かった. また, デキストリンには環状オリゴ糖であるα-, β-, γ-シクロデキストリンがある. 本研究では, 各種シクロデキストリンがマウス線維芽細胞に対する影響を検討した. [方法]本実験では, 和光純薬社製のα-, β-, γ-シクロデキストリンを使用した. 細胞はマウス線維芽細胞由来のL929を用い, 実験群はそれぞれのシクロデキスト...
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Published in | 日本再生歯科医学会誌 Vol. 5; no. 1; p. 67 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本再生歯科医学会
30.12.2007
Japanese Association of Regenerative Dentistry |
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ISSN | 1348-9615 |
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Summary: | [緒言]我々はこれまで, 澱粉が分解されマルトースに至る中間段階生成物の総称であるデキストリンに着目し研究を行ってきた. その結果, in vitroで細胞を培養する際に, 低濃度のデキストリンを培養液に添加すると, 細胞に顕著な増殖活性を与えることが分かった. また, デキストリンには環状オリゴ糖であるα-, β-, γ-シクロデキストリンがある. 本研究では, 各種シクロデキストリンがマウス線維芽細胞に対する影響を検討した. [方法]本実験では, 和光純薬社製のα-, β-, γ-シクロデキストリンを使用した. 細胞はマウス線維芽細胞由来のL929を用い, 実験群はそれぞれのシクロデキストリンを添加した培養液で培養し, Control群は培養液のみとした. 培養はL929を2×104cells/mlとなるように調製し, 培養24時間後の細胞生存率が50%となる濃度(IC50)を濃度-細胞生存率曲線から求めた. さらにγ-シクロデキストリンについては, 培養24, 48, 72および96時間後の細胞数の計測と細胞形態の観察をした. [結果および考察]γ-シクロデキストリンを添加した群で培養した細胞のIC50は最も高い値を示した. さらに経時的な細胞数の変化を計測した結果, γ-シクロデキストリンを低濃度添加した際の細胞数は, 全ての培養期間においてControl群より高い値を示した. また, 細胞形態の観察では多数の細胞分裂像と成熟した細胞が認められた. 以上から, 培養液に低濃度のγ-シクロデキストリンを添加することにより, L929に増殖活性を与えることが示唆された. |
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ISSN: | 1348-9615 |