2.胃悪性リンパ腫の治療法の検討 -最近の動向
【背景】消化管に初発する悪性リンパ腫の治療は, 従来外科的切除が中心であり, その後, 必要に応じて化学療法や放射線治療が行われてきた. 近年, 病変を切除しなくても診断の確定, および病変の範囲を正確に知ることが可能になってきており, 治療後のQOLを考慮する観点からも非切除治療が選択される場合が増加しつつある. また, その治療成績は外科的治療に匹敵すると報告されている. そこで, 当科で胃悪性リンパ腫の非切除治療を施行した症例の初期治療効果について報告する. 【症例】対象は過去1年間に群馬大学附属病院放射線科へ紹介された胃悪性リンパ腫の4例である. 症例の背景は様々であり, MALTリン...
Saved in:
Published in | THE KITAKANTO MEDICAL JOURNAL Vol. 54; no. 2; p. 173 |
---|---|
Main Authors | , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
北関東医学会
01.05.2004
Kitakanto Medical Society |
Online Access | Get full text |
ISSN | 1343-2826 |
Cover
Summary: | 【背景】消化管に初発する悪性リンパ腫の治療は, 従来外科的切除が中心であり, その後, 必要に応じて化学療法や放射線治療が行われてきた. 近年, 病変を切除しなくても診断の確定, および病変の範囲を正確に知ることが可能になってきており, 治療後のQOLを考慮する観点からも非切除治療が選択される場合が増加しつつある. また, その治療成績は外科的治療に匹敵すると報告されている. そこで, 当科で胃悪性リンパ腫の非切除治療を施行した症例の初期治療効果について報告する. 【症例】対象は過去1年間に群馬大学附属病院放射線科へ紹介された胃悪性リンパ腫の4例である. 症例の背景は様々であり, MALTリンパ腫, I期, 2例, びまん性大細胞型B細胞リンパ腫, I期, 1例, マントル細胞リンパ腫, IV期, 1例であった, MALTリンパ腫の2例に対しては, 1例はピロリ菌の除菌療法のみ, もう1例は除菌療法の効果が不良であり, 腫瘍も巨大であったため, 放射線治療40Gyを施行した. びまん性大細胞型B細胞リンパ腫の1例に対しては, CHOP療法3コース施行後, 放射線治療36Gyを施行した. マントル細胞リンパ腫の1例に対しては, CHOP療法6コースを施行後, 放射線治療26Gyを施行した. いずれの症例においても, 治療に対する反応性は良好で, 病変はほぼ完全に消失した. 放射線治療を施行した1例で, 左肺下葉に限局した軽度の肺炎がみられたが, この他重篤な有害事象はみられず, 摂食の状態も良好であり, 治療後も高いQOLが維持できている. 【結語】胃悪性リンパ腫に対する非切除治療法の初期治療効果は良好であり, 比較的安全に施行可能であった. また, 摂食の状態など, 治療後のQOLも良好であった. |
---|---|
ISSN: | 1343-2826 |